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EV銘柄衰えず、「次のテスラ」を探せ IPO・資本提携の発表続々

 電気自動車(EV)メーカー各社が新規株式公開(IPO)や、大手同業他社との業務提携などの計画を相次ぎ打ち出し、事業拡大に乗り出している。金融市場で「次のテスラ」を探す動きが活発化し、EV関連銘柄に巨額の資金が流入していることが追い風となっている。

 時価は軒並み高騰

 EVバスメーカーの米プロテラは12日、特別買収目的会社(SPAC)のアークライト・クリーン・トランジションとの合併により上場する計画を発表した。関係者によると、米EVメーカーのルシッド・モーターズも元シティグループの投資バンカーのマイケル・クライン氏が設立したSPACとの合併を通じた株式公開について協議している。

 一方、燃料電池メーカーの米プラグパワーと仏自動車大手のルノーは合弁事業を立ち上げ、水素燃料の小型商用車を生産する計画だ。

 EV代表銘柄であるテスラの時価総額は今月、交流サイトの米フェイスブックを抜き、8340億ドル(約86兆5200億円)と過去最高を更新。市場では「次のテスラ」を物色する動きが目立ち、EV企業の時価総額は軒並み高騰している。過去20年間で年間の黒字を確保したことがないプラグパワーの時価総額も、昨年の12億ドルから約290億ドルにまで跳ね上がった。

 エコカーは世界潮流

 エコカー投資の活況を後押ししているのはテスラだけではない。米大統領選でのジョー・バイデン氏の勝利が追い風になると期待されている。バイデン氏は昨年夏の選挙キャンペーンで、地球温暖化対策の一環としてプラグイン車に対する政府の支援を強化する意向を示していた。

 フィスカルノート・マーケッツのマネジングディレクター、ケイティ・ベイズ氏は「世界的にエコカーへの関心が高まっている。エコカー投資はもはや少数派ではなく、メインストリームとなっている」と指摘する。

 関係者によると、ルシッドの取引は最大150億ドルと評価される可能性がある。最近はSPACとの合併を通じた上場手法が自動車メーカーの間で多く利用されており、ニコラやフィスカー・インクなどのEVメーカーも2020年に同様の手法で上場した。20年のSPACによるIPO総額は792億ドルに達し、IPOの主流に躍り出た。

 プロテラの会長兼最高経営責任者(CEO)のジャック・アレン氏はインタビューで、「これは業界にとって大きな転換点だ。SPACによるIPOは当社をさらに前進させ、収益を牽引(けんいん)する3事業への投資を加速できる」と説明した。

 一方、プラグパワーとルノーの12日の声明によると、両社は車両と水素ステーションの両方を供給する意向だ。22年初頭までにフランスのルノーの工場で生産を開始し、30年までに年間数万台の小型商用車を生産することを目指している。

 プラグパワーは発表に先立ち、6日にも韓国SKグループから15億ドルの出資を受け、アジアでの燃料電池事業の展開を目指す方針を示していた。再生可能エネルギーで製造され、燃料電池に使用される水素は温室効果ガスを排出せずにエネルギーを供給でき、気候変動対策で切り札となる可能性を秘める。

 プラグパワーのアンディ・マーシュCEOはインタビューで「車両、サービス、水素ステーションに至るまで、当社は成功に必要な条件を全てそろえている」と自信をのぞかせた。(ブルームバーグ David R.Baker、Brian Eckhouse)

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