リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

ファインデックス・相原輝夫社長(2)「サークル」から上場企業へ 働き方に変化

  --ファインデックスを起業した経緯は

 「NEC子会社でシステムエンジニアとして働いていたが、3年で辞めて故郷の松山市に戻って間もなく、地元の病院長と出会い『病院内のシステムを見てほしい』と頼まれた。見に行くと汎用(はんよう)コンピューターを導入していたが、レセプト(会計)にしか使っていない。『もったいない』と思い、プログラムを作って持っていくと歓迎され、これを機に業務改善のための提案を次々と行い、それが松山市で評判となり、愛媛県へ拡大した。仕事をもらえるようになったので1998年、医療システム開発とコンサルティング業務を始めた」

 「そして、独自のレセプトシステムを作ろうとしていた日本医師会からプロジェクト参加を打診されたことがきっかけとなり、マーケットが四国から一気に全国に広がった。その理由は『不便だけど仕方ない、無理』と病院が思い込んでいたことを発見し、そのタブーを打ち破ったからだ」

 --上場が企業成長の一つの転機となった

 「創業当初は全く考えていなかった。しかし公的機関でもある病院が相手の仕事に携わっており信頼が大切と考え、上場する意味があると判断した。当時は社員が30~40人で残業は当たり前、翌朝まで仕事をして『できた』と全員で喜んでいた時代で、大学のサークルの延長のような雰囲気だった。しかし、上場を目指す中で、それが許されなくなった。労働基準法で残業時間の上限が決まっており、働きにくい。だんだんと息苦しく感じるようになり、社員の約半数から『上場しなくていい』という声が上がった」

 「働き方を変えるのは大変だったが、2011年にジャスダック上場(14年東証1部)を果たした。今、振り返ると絶対に良かったと思う。日本中の医療機関を支える仕事をする上でコンプライアンス(法令順守)やガバナンス(企業統治)は絶対にやるべきこと。上場というステータスや機動的な資金調達ができるというより本来あるべき会社、責任ある会社になることに意味があった。あのまま大学のサークルの乗りで成長していたら取り返しのつかない事故を起こしていたはずだ」

 --上場は採用にも生かせるのでは

 「人集めは苦労している。エンジニア志望はAI(人工知能)、ゲーム、クラウド分野に行きたがる。医療の面白さを伝えなければいけない。当社は『価値ある技術創造で社会を豊かにする』という経営理念のもと、研究開発型企業として多くのシステムや技術を生み出してきた」

 「私自身、社長になった今でもモノづくりが好きで、新しいシステムの構想を考えているときや、それを誰かと共有しているときはワクワクしている。そんな社員が集まっており、一緒に働く仲間を増やしたい」

 --休日の過ごし方は

 「仕事は大変だが、好きなのでストレスは感じない。休みはゆっくりとワインを飲みながら映画を観賞したりして過ごしている。たまに仲間とゴルフに行ったり、海でのんびりするのも好きだ。ただ、今はコロナ禍でやりたいときにやりたいことができず、それがストレスになっている。収束後が楽しみだ」

 --座右の銘は

 「建築家ミース・ファン・デル・ローエの『魂は細部に宿る』という言葉が好きだ。お金を出して何かを依頼したお客さまから『本当にいいものだね』と喜んでもらえる製品・サービスは、使い込めば使い込むほど隅々まで行き届いていると感銘を受けてもらえる。細部まで突き詰めていく(気を使う)と全体が良くなるし、雰囲気も出てくる。見た目ではなく本質的に良いものをつくること、他社がまねできない気のきいた製品・サービスを提供したい。私のポリシーでもある」

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