新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の大阪など7府県への再発令後、23日に2度目の週末を迎えた。関西の百貨店は感染対策が進んだため、食料品フロアを除き臨時休業とした前回(昨年4~5月)と違い営業時間の短縮で対応。売上高の減少は深刻ながら、前年同期比8割減程度から2~4割減程度へと改善した。ネット販売も伸びているが売り上げに占める割合は小さく、今後の拡大が課題となる。(山本考志)
7府県への宣言の再発令は今月13日に決まった。
高島屋は前回の宣言を受け昨年4月8日以降、対象地域で食料品フロア以外を臨時休業。5月中旬に生活必需品を扱うフロアから営業を広げ、同27日までに全館で営業を再開した。今回はレストランフロアを午後8時まで、ショップフロアを午後7時までと時間を短縮し、営業している。
高島屋大阪店は昨年4月8日以降、入店客数、売上高ともに前年同期比8~9割減と落ち込んだが、今年1月14~22日は入店客数が5割減、売上高が4割減で推移。食器や調理器具などの家庭用品で比較的高価なものが売れている。
同店は「明確な目的を持ち買い物に来る方が多く、入店客数に占める購入者数の比率を示す『買い上げ率』が高まっている」とする。
ネット通販の売り上げも前回より増加している。「バレンタインデーに向けたセールがネット販売の伸びに影響している」(担当者)。通販サイトで30の人気ブランドから好みのチョコを選んで購入できる全店共通企画などが人気という。
近鉄百貨店も今回レストランフロアなどを午後8時までの時短営業で対応している。あべのハルカス近鉄本店は前回、入店客数、売上高とも8割減まで落ちたが今回は各2~3割減だ。
ネット通販は米、水などの日用品やマスクなどの衛生用品、特産品などのネット限定商品が人気。
担当者は「前回発令時の通販サイトは何とか商品をかき集めた。今回は感染拡大の長期化を見越し商品点数を充実させている。今回は感染拡大の長期化を見越して商品点数を充実させており、入店客数が増える中、ネット販売も好調を維持している」とする。
大丸松坂屋百貨店も時短営業で対応。昨年4月は全店で入店客数、売上高とも8割減だったが、今年1月は14日まで各4割減、3割減で推移した。昨秋にはネット分野の新規事業を担う「デジタル事業開発部」を新設。化粧品や宝飾品のネット販売を強化する。
売り手と顧客が接触しないネット販売はコロナ下で重要な手法となる。日本百貨店協会は「現在の緊急事態宣言下において、各社では安心・安全な売り場環境の整備に一層注力している。同時に、デジタル活用による顧客接点の開拓など、新たなマーケティング施策を積極推進している」とする。
ただ、各社のネット販売の売上高は全体の1割未満で、依然落ち込む収益の柱には育っていない。