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コロナや災害リスクがビルの再生を後押し 関連業界の新たな商機に

 新型コロナウイルス禍や大規模災害といったリスク対応が、オフィスビルの再生を後押ししている。感染拡大を減らすための仕組みや震災などへの対策の重要性が高まり、コロナ禍で減速する経済の先行きが見通しにくい中でも国内外で新たなニーズが生じているためだ。日本の大手ゼネコンも新たな商機ととらえ、組織変更を行うなどして対応を加速。日本国内では建築物の改装や改修は建築投資の2割を占めており、中長期的な成長も期待されている。

 約100年前に完成したビルを先端技術を導入した「スマートビル」に生まれ変わらせる。三菱地所の英国子会社などがスウェーデンで手掛ける事業は、こんな構想に基づいた大規模ビル改修だ。

 対象となるのは1920年完成のストックホルムにある地上8階、地下2階のビル。オフィス、店舗、住宅を含む複合施設として2023年に生まれ変わる計画だ。非接触の入館システムなどの導入が予定され、総事業費は約135億円が見込まれている。

 スウェーデンはかねてオフィスへの出勤と在宅勤務の両方を取り入れた働き方が浸透。そこに新型コロナ禍が加わり、オフィスの在り方を見直す機運が強まっている。通信機器大手エリクソンや商用車大手ボルボといったグローバル企業が本拠地を置く。新型コロナ禍の経済への悪影響は、欧州では比較的小さいとされる。欧州事業が英国中心だった三菱地所グループにとっては新たな市場だ。

 同社の担当者は「欧州都市へ投資領域を拡大する。着工まで時間があるので、計画の詳細はテナントに訴求できるよう内容を見極めて検討を続けたい」としている。

 一方、オフィス需要の緩やかな縮小傾向がみられる日本国内でも、リスク対応を契機とした新市場が注目されている。

 ゼネコン大手の大成建設は昨年11月、大規模地震などの災害に備えた改修工事のニーズを取り込もうと、建築物の改装・改修を行うリニューアル事業を担当する部署を立ち上げた。リニューアルに特化した技術に精通した担当者を集めて、顧客により充実した提案ができる体制を強化。高層ビルのほか工場など建築物全般での受注を目指す。

 相川善郎社長は「これからの当社の建築部門で、収益の柱の一つになる」と強調。その上で、「リニューアルの需要はどんどん増えていくだろう」と話した。

 国土交通省によると、令和2年度の建築投資は官民合わせて38兆1500億円(前年度比6・5%減)となる見通し。そのうち既存のビルや工場などの建築補修(改装・改修)投資は7兆7000億円で前年度比4・3%減との見込みだが、建築投資全体の2割を占める存在感だ。

 オフィスビルの改装・改修はビルの所有者にとっては資産価値を向上させる意味合いもある。不動産関連業界の取り組みが新型コロナを経た新たな経済情勢の中で街全体の生まれ変わりにつながる可能性も秘めている。(岡田美月)

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