2021 成長への展望

ローソン社長・竹増貞信さん 指名買いされる売り場づくり目指す

  --2020年はコロナ禍の1年だった

 「コンビニエンスストアは人が動いて需要が生まれる。コロナ禍で人の動きが抑えられ、かつ、これまでの自然震災などと違いスーパーマーケットは全店開いている。最初は相当厳しいんじゃないかと思ったが、ピンチはチャンスを連れてくる。お客さまの価値観は近くの狭い生活圏で暮らす志向に変わった。僕らが夕夜間強化でお客さまの朝・昼・晩を背負えるよう(達成まで)3~4年かかると考えていた状況が、コロナ禍で到来した。後は僕らが変われるかどうかだ」

 --暮らし方の変化にどう対応していくのか

 「ローソンへのニーズはコロナ前には戻らないと考え、昨年はオフィス、繁華街や観光地、住宅地といずれの立地でも、居住者の生活・行動変化で期待されているもの(商品)を取り込んだ。昨年7月から全店で野菜販売を開始したり、総菜や冷凍食品、お酒を充実させたり、トイレットペーパーはじめ日用雑貨も今までなかった大容量品を導入した。変化対応で進めてきて、秋に人が動いて売り上げが回復したところに再び感染が拡大した。結局、人の動きはあまり期待してはいけない。コロナの見通しは分からないし消費動向を読むのは非常に複雑だが、どんな環境でも皆さん3食食べるし、近くのローソンで満足できればいい。この点に集中して強化に取り組んでいる。コンビニは緊急購買に応えるとの発想だったが、毎日指名買いされるような商品が並ぶ売り場にする」

 --店舗戦略、オフィス立地は厳しいが

 「昼間人口ががくぜんと減り、夕夜間も減っている。コンビニ、ドラッグストア、飲食店。これを(コロナ禍の)今のオフィス人口で賄い、かつ、今の賃料を払えるのか。マクロ的に見て無理だ。競争社会の中でグレートリセット、生き残りをかけ勝負しないといけない。一方で、加盟店オーナーさんがいらっしゃる。前向きな商売でチャレンジし、賃料などコストをかんがみ、努力した上でいろんな判断が出てくる」

 --デジタル化への取り組みは

 「期待を寄せているのがデジタルを使った薬販売を認める規制改革だ。オンライン診療が始まったが、なぜ薬が対面販売なのか。登録販売士にリモート相談し、その証しがスマートフォンや店の端末から出て、薬が買える。ローソンだけでやりたいということではない。本当に大きな危機にあるが、デジタル環境をもってすればコンビニエンスストアも必要とされ、この国自体の安心安全にもつながる。新しいステージに、このコロナを機に入っていけるチャンスと思っている」

【プロフィル】竹増貞信

 たけます・さだのぶ 阪大経卒。1993年三菱商事入社。2014年5月、ローソン副社長。16年6月から現職。大阪府出身。

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