東芝が29日、約3年半ぶりに東京証券取引所1部へ復帰する。一時は経営破綻寸前まで追い込まれたが、外部から起用された車谷暢昭社長の下で改革が進み、復活をアピールできるところまでこぎつけた。ただ、成長軌道への復帰にはもう一段の努力が必要。ガバナンス(企業統治)にも課題が残り、経営陣に不満を抱く株主は少なくない。
東芝は不正会計や米原発事業をめぐる巨額損失で経営が悪化。負債が資産を上回る債務超過に陥り、平成29年8月に東証1部から2部へ降格された。
約6千億円の大規模増資や、半導体メモリー事業の売却で辛くも破綻を回避。その後も経営改善に取り組み、22日に東証から1部復帰を認められた。
リストラの効果もあるとはいえ、令和2年3月期には連結営業利益が1304億円と前期比で3・7倍に増加。1兆円の損失を生む可能性があった米国の液化天然ガス(LNG)事業を手放すなど、経営リスクの遮断も進んだ。
1部復帰で同社の信用力は高まり、成長に向けた資金調達がしやすくなりそうだ。車谷氏は「株価だけでなく、再建を進める当社グループにとって大きな意味合いがある」と強調する。
ただ、課題も残る。3年3月期の連結営業利益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって前期比15・7%減の1100億円にとどまる見通しで、環境に左右されない収益体制の構築は道半ばだ。次の柱と期待する再生可能エネルギー事業などの育成も急務だ。
株主対策にも追われている。昨年12月には大株主の投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントとファラロン・キャピタル系のチヌーク・ホールディングスが、相次ぎ臨時株主総会の開催を要求。東芝はそれを受け入れた。
ファラロンは、東芝が合理的な説明のないまま、自律的な成長と小規模なM&A(企業の合併・買収)を柱とした経営方針を変更し、1兆円規模の投資戦略を突如公表したことを問題視している。
エフィッシモは、昨年7月の定時株主総会で議決権行使をめぐる集計ミスがあった問題に関し、第三者の調査を要求。経済産業省参与(当時)が米ハーバード大の基金運用ファンドに対し、定時総会で会社側提案に反対しないよう圧力をかけた疑惑の解明も求めている。株主の不満が根強く残る中、3月中にも開かれる見通しの臨時総会は波乱の展開となる可能性も否めない。(井田通人)