日本通運が東京都港区の本社ビルの売却を検討していることが27日、分かった。今年秋以降に同千代田区へ本社を移転する予定だ。現本社は賃貸や自社グループでの利用なども計画していた。同社では新型コロナウイルス感染拡大を受け、本社を中心に出社率を最大で3割以下に抑えるなどオフィス環境が変化しており、移転先のオフィス面積は現本社よりも2割程度縮小する見込みだ。
日通の現本社ビルは地上28階、地下4階、高さ136メートルで、2003年に完成した。新社屋は本社と支店の機能を備えた地上14階、地下1階、高さ約65メートル。ビルは今年8月に完成予定だったが、新型コロナ禍に伴う工期の遅れで、完成と移転時期は秋以降にずれ込む見通しという。
日通は昨年と今年1月の緊急事態宣言期間中、本社を中心に出社率を3割以下に抑制。期間以外でも出社率を5割以下としていた。
現本社のある汐留エリアでは、電通グループも本社ビルの売却検討を明らかにしている。テレワークの普及などでオフィス需要が停滞し、新たな借り手の企業を確保するのが難しくなりつつある中、今後も同様の動きが広がりそうだ。
■本社ビルなど不動産の売却・検討を進める主な企業 社名 理由など
日本通運 東京・汐留の本社ビルの売却検討。新型コロナ禍以降、本社を中心に出社率を最大3割以下に抑制
電通グループ 東京・汐留の本社ビル売却を検討。本社ビル勤務の約9000人の出社率は最大2割程度となり、オフィスに余剰スペースが発生
エイベックス 東京・南青山の本社ビル売却。イベント自粛などで収益が悪化。資産の現金化で財務強化を図る
ANAHD 自社グループの人事教育拠点としていた都内のビルを売却
三陽商会 旗艦店が入る東京・銀座の商業ビルを売却
※HDはホールディングス