--新型コロナウイルス禍への対応は
「あらゆる企業・団体が感染防止のための自粛を継続しており、企業規模や正規・非正規の違いを問わず生活者は収入の激減など困難に直面している。そこで協会は2020年6月から支援事業を開始、生活再建のポイントや公的支援制度などを掲載した小冊子を提供したり、家計再建セミナー・相談会を自治体と連携し継続的に展開したりしている」
--19年から「人生100年の家計戦略」を掲げている
「コロナ禍は一過性と信じたいが、人生100年時代はこれからも続く。しかも家族構成や働き方の多様化が加速、自分でライフプランを立てる力が求められる。しかし生活者の多くは長寿時代を喜ぶより不安を感じている。このままでは今の生活も窮屈になり、消費に対しても消極的になりかねない。将来を見通していないからで、こういう資産形成なら長寿を全うできることを具体的数字で『見える化』、それに備えることが欠かせない。協会では『早め早めに動いて』と呼びかけているし、FP(ファイナンシャルプランナー)はサポートできる」
--そのために必要な金融経済教育への取り組みは
「小学生からリタイア世代まで全世代に向けて活動している。世代ごとの小冊子の提供から、学校への講師派遣、大学への寄付講座など多岐にわたる。協会会員20万4000人が全国50支部に所属し、全国で同じ品質のセミナー・相談会など社会貢献活動に草の根的に取り組んでいる。商品説明は行わず中立なので頼られる存在として行政などとの連携も増えている」
--課題は
「FPの名称は多くの人が知るようになった。しかし『(世界共通水準の資格である)CFP認定者』の名称や『FPに相談する』という行為はまだまだ浸透できていない。人生に寄り添うというFPの役割をしっかりと伝えていきたい。FPは知識とスキルを継続的に高めるため2年ごとに資格を更新しており、品質は担保されている。だから信頼できる」
--FPへの理解度を高めるためには
「若いときからFPに触れる機会を創りたい。その一環として全国約780の4年生大学のうち約350大学にFP講座を開講し、地元会員が講師として登壇している。22年度の新学習指導要領から高校で資産形成に関する授業が始まる。FPの派遣ニーズが高まると期待しており、これを契機にCFP・AFPを目指す若者が増えてほしい」
【プロフィル】白根寿晴
しらね・としはる 早大法卒。1977年住友電気工業入社。税理士登録を経て97年エフピーインテリジェンス設立し代表取締役。2002年日本FP協会理事、12年から理事長。東京都出身。