2021 成長への展望

サントリーホールディングス社長・新浪剛史さん イノベーティブな商品提案で差別化

  --昨年はコロナ禍で業務用商品は苦戦した

 「国内はもともと、消費が非常に厳しくなっていたが、そこに輪をかけて新型コロナウイルス感染が来た。業務用は厳しくなり、家庭内消費にシフトした。夏が終わってから少し持ち直して、10月から少しいい商品が売れ始めたが、全般的にみると消費そのものは低価格志向の消費だ。業務用を取り戻そうとしたが、金額ベースでは酒もソフトドリンクも厳しかった。善戦したのはサプリメントを含めた健康食品で、コロナ禍の中で健康意識の高まりから2019年を少し上回った。ソフトドリンクは自動販売機もオフィス勤務が少なくなったこともあり、非常に厳しかった」

 --低価格志向と“イエナカ消費”への対応は

 「例えばアルコールで言えば、ハイボール缶も買うけれど時間があるからウイスキーをボトルで買って、自分でハイボールを作る傾向が出た。これは消費の幅が出てきたということで、悪いことだけじゃない。低価格志向の消費だからつまらないではなく、われわれも喚起させていかないといけない。(巣ごもりで)使わなくなった分のお金があるはずで、そこで私たちの商品に振り向いてもらうために差別化を相当しないといけない。昨年、イノベーティブな商品で最も成功した『伊右衛門』は液色がお茶らしい色になったし、エンターテインメント性もあった。こうしたイノベーティブな提案をしっかりやっていくと反応してくれると分かった。いくつか面白い商品を出していきたい」

 --アフターコロナの見通しは

 「このパンデミックは民間が引き起こしたものではなくて災害。この1~3月をどう企業として、そして国として乗り切るかが重要だ。その先にアフターコロナが来て、飲食需要は全てではないが戻ってくる。人間の持つ特性というか、会って、肝胆相照らすことはやりたいと思うものだ。ただ、出社は半分で、3分の1は家で仕事するとか、変化した働き方はあまり元に戻らないだろう。その意味で、家の近くの居酒屋やレストランがはやる可能性がある。いずれにせよ、(業務用が復調する)その時に向けて備えておかねばならない」

 --デジタルトランスフォーメーション(DX)の新規の取り組みは

 「データを活用し、お客さまにより好んでいただける商品づくりや告知をしていくことを目指している。そのため、グループ各社に分散し複雑になっているデータ統合を新たな組織で行う。これからはデータが一番重要なもの、自分たちで持つ」

【プロフィル】新浪剛史

 にいなみ・たけし 慶大経卒。1981年三菱商事入社。91年米ハーバード大経営大学院修了。2002年ローソン社長、14年会長を経て、同年10月から現職。神奈川県出身。

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