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格安スマホという産業は消える 楽天は「第3勢力」にとって時限爆弾 (1/3ページ)

 「格安スマホにしないと損」と言われていたが…

 会社にとっての死刑宣告には2種類あります。ひとつは経営破たん。経営が行き詰まって銀行の支援も得られず経営者が頭をかかえて倒産の判断をせざるをえないケースです。そしてもうひとつのケースが世の中のルールが変わって「あれ、これだとうちは生き残っていけないよね」と気づいてしまうパターンです。

 今、後者の状態にあるのが格安スマホのサービス事業者かもしれません。「OCN モバイル ONE」「mineo」「BIGLOBEモバイル」「IIJmio」「イオンモバイル」「BIC SIM」といった独立系の格安スマホサービスの市場は過去5年間で急成長しました。

 少し前までは、携帯大手3社のスマホの通信料が月額で7000~8000円ぐらいかかるところ、格安スマホなら月額3000~4000円になる。あまりデータを使わないライトユーザーなら2000円ぐらい。だから格安スマホにしなければ損だというイメージがありました。

 複数持ちをしている人も結構いるので契約台数だけ見ても実情はわからないのですが、世の中の調査でみると、大手3社とスマホ契約をしてメインで使っている人が75%ぐらい、格安スマホをメインで使っている人が25%ぐらいというところまで格安スマホの勢力が拡大していました。

 MVNOにとって、値下げは収益圧迫に直結する

 そこに出現したのが、昨年秋に誕生した菅政権の目玉政策である、スマホ料金の引き下げの動きです。NTTドコモが20GBで月額2980円という新プラン「ahamo」を発表し、あわててソフトバンクとKDDIがこれに追随する形になりました。これらの新プランはこの3月から提供を開始します。

 そうなったら7GBで月額3000円といったこれまでの格安プランは生き残ることができません。3万件以上の契約数がある格安スマホ事業者は少なくとも50社以上あるそうです。それらの格安スマホ各社からもつぎつぎと値下げプランが発表されていますが、損益的にはぎりぎりのプランになるはずです。なぜならその大半が大手から借りた回線の利用料を支払ってサービスを提供するMVNOという事業形態ですから、値下げは収益圧迫に直結します。

 業界の大幅再編淘汰は必至という状況の中で、今後、格安スマホの業界はどうなっていくのでしょうか。可能性をまとめてみたいと思います。

 格安スマホの会社には「3つのタイプ」がある

 そもそも格安スマホの会社は3つのタイプに分かれます。ひとつはUQモバイルやY! mobileのような大手の系列子会社です。LINEモバイルも今回の流れでSoftBank on LINEという新サービス名に移行して完全にソフトバンク携帯の系列会社としてのサービスに生まれ変わります。

 2つめのタイプに楽天モバイルがあります。これは第四の携帯電話会社として独自回線での新規参入を模索中の新興勢力で、データ利用料無制限で月額2980円のサービスで業界に殴りこみをかけた途上にあります。全国ネットワークの敷設に1兆円を超える設備投資が必要な最中で、いきなり持ち上がった価格大幅引き下げの動きは、楽天にとっては試練といえる状況でしょう。

 そして3つめの勢力が先ほど挙げたMVNOです。主にNTTドコモから回線を借りている企業が多く、それをドコモよりも安い価格帯で再販するビジネスモデルだったのですが、大本のドコモから月額2980円のサービスが始まることでの打撃が大きく、今、その存続の危機にある状況です。

 約半数の人たちは、月間2GB以下しか使っていない

 さて、その格安スマホ業界の未来を占う前に、そもそも読者の皆さんはご自分が毎月どれくらいのデータ数をお使いか、ご存知でしょうか? 調査によると大半の消費者は、キャリアと契約したデータ量(いわゆるGB)を使いこなせていないようです。私とその家族の例で説明しましょう。

 まず私ですが、経済評論家で仕事では当然のように携帯はよく使います。外出先ではメール、ニュース、SNSのチェックは欠かせませんし、オンラインショッピングや外食のデリバリーサービスの利用もよくします。ただし動画と音楽のダウンロードは使いません。これで月間ほぼほぼ2GB以内です。わたしの両親も高齢者ながらスマホを使っていますが、こちらはほぼほぼ1GB以下です。

 そして調査によると月間2GB以下しか実際に使用していない利用者は実は我が国全体で約半数にのぼります。

 つぎにちょっと後出しじゃんけんっぽくて恐縮ですが、私はもう一台、サブのスマホを持っています。実はこちらをテザリング目的で使っていて、たとえば外出先の喫茶店でパソコンで作業をするときなどにはデータ契約の多いこちらの携帯を使います。動画のチェックなどもこちらの携帯でするのですが、月間の使用量は多くて5GB以内です。

 私とは違ったライフスタイルのユーザーで、たとえばSpotifyなどと契約して毎日2時間音楽をダウンロードして聴いている人も、だいたい月額の使用料は5GBあたりになります。

 20GB以上が必要なユーザーは25%だけ

 このようなライフスタイル、ワークスタイルのユーザーはこれまで月額7GBぐらいの契約が必要だったわけですが、このユーザー数が全体の25%ぐらい。つまり現在のデータの使い方だと75%の人は7GBか3GBの契約で十分で、20GBの容量が必要な人は人口全体の残りの25%だけなのです。少なくとも現状のスマホの使い方であればの話ではありますが。

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