金融

街角景気、倒産増加で晴れない暗雲 飲食業界から悲鳴

 1月の景気ウオッチャー調査は年明けの緊急事態宣言再発令で3カ月連続の悪化となり、政府に感染再拡大の元凶と名指しされた飲食関連の低迷が目立つ。昨年春の前回発令時に需要が蒸発した危機的な状況が再燃し、8日からの宣言延長で終わりが見えない。外食産業に諦観や無力感が強まれば、倒産・廃業の動きが一層加速する恐れがある。

 「アルコール提供は19時まで、20時で閉店といわれ夜の客が全く来ない」(南関東地方のレストラン)

 1月調査には営業時間の短縮を求められた飲食業などから恨み節が相次いだ。

 外食産業は余剰資金に乏しい中小の事業者が多く、コロナ禍の外出自粛で資金繰りが急速に悪化した。東京商工リサーチによると、令和2年の飲食業倒産(負債額1千万円以上)は842件と東日本大震災が起きた平成23年を超え、年間最多を更新。会食が問題視された年明けからの宣言再発令で対象地域の飲食店は時短営業を求められ、経営体力はさらに弱まっている。

 一方、1月調査では「自動車関連や農産物関連の受注量、販売量が順調。景気はやや良い状況」(東海地方のパルプ・紙・紙加工品製造業)と堅調な業種もある。政府は自粛の対象を飲食業に絞った今回の宣言は「リスクの高い場面に効果的な対策を取る」(西村康稔経済再生担当相)狙いがあると説明しており、1~3月期の景気悪化は、戦後最悪の崩落を記録した昨年春の前回宣言に比べれば限定的になると指摘される。

 それだけに今回の宣言を前例として、次の感染拡大でも飲食店が自粛の標的になる恐れは十分にある。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「宣言の延長で諦めムードに拍車がかかり廃業など後ろ向きの動きが増える」と指摘。先行きの暗雲は晴れない。

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