資生堂が9日発表した2020年12月期連結決算は、最終損益が116億円の赤字(前期は735億円の黒字)に転落した。新型コロナウイルス感染拡大で化粧品販売が落ち込んだ。本業のもうけを示す営業利益は前期比86.9%減の149億円、売上高は18.6%減の9208億円だった。
移動制限によるインバウンド(訪日外国人)需要の激減に加え、マスク着用の定着がメーキャップ商品の販売を落ち込ませた。経済がいち早く回復した中国で高級化粧品の販売が大きく伸びたほか、売上高に占める電子商取引(EC)比率が前期の13%から25%に高まったが、コロナ禍による減少分を補えなかった。
今期の最終利益は115億円と黒字転換を予想。売上高は1兆1000億円と2年ぶりの1兆円台回復を見込む。
この日は中期経営計画も発表した。売上高は日用品事業の売却などでいったん落ち込むが、最終年度の23年12月期には1兆円程度に回復させる。一方で収益力を最も重視し、19年12月期に10%だった営業利益率を15%に高める。魚谷雅彦社長は記者会見で「(最終年度には)完全回復したい」と強調した。
このほか、アクセンチュアとデジタルトランスフォーメーション(DX)推進で戦略的パートナーシップを結ぶことも発表。デジタルマーケティングの強化やグループの基幹業務システムの統一、社員のデジタルスキル向上が目的で、合弁会社設立も視野に入れているという。