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経済界、森会長後任人事プロセスに不満 早期の新体制発足を

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の辞任表明を受け、スポンサー企業を中心に、経済界からは「辞任は当然」といった冷静な受け止めが相次いだ。ただ、後任人事や人選のプロセスが不透明なことが、国内の五輪機運の低下や国際的な日本への評価の下落につながりかねないとも懸念しており、早期の新体制発足を求めている。

 ゴールドパートナーである三井不動産の広報担当者は森氏の発言を「五輪・パラリンピックの理念に反する不適切なもの」と批判し、辞任はその責任を取ったものと評価した。

 60社を超える国内スポンサーは、合計で220億円を超える協賛金の追加負担を受け入れたばかり。それだけに、森氏が会長にとどまり続けるような事態になれば、スポンサー企業の国際的なイメージ悪化につながってしまうとの不安も強かったようだ。

 スポンサー各社が口をそろえるのは「多様性と調和」の重要性だ。パナソニックも「女性蔑視などの差別は当社の価値観とは相いれない」と強調する。各社は後任の具体的な人選には言及していないが、多様性への取り組みを国際的にも示すことができる人選への期待が大きい。

 しかし12日午前までは有力だった日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏の後任就任が白紙となり、新たな懸念材料となった。スポンサー企業幹部は「川淵氏なら仕方ないと思っていたが、この混乱が日本の悪い印象になるのは困る」と漏らす。別の大手企業の幹部も「コロナや森氏発言などで大会が無事に開催できるか不安がある中で、後任人事でもたつけばさらに混乱が広がる」と懸念を示す。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は12日の決算記者会見の中で、森氏の発言について「極めて不適切であったと言わざるを得ない」と指摘。新型コロナ感染拡大を念頭に「本当に今年開催すべきなのかという議論もすべきだ」と話している。

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