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曙ブレーキ、20年間の検査不正発覚 品質軽視改めず…遠い信頼

 曙ブレーキ工業で約20年にもわたる検査不正が発覚し、国内製造業の品質軽視の姿勢が依然として改まっていないことが浮き彫りとなった。宮地康弘社長は16日の記者会見で再発防止を徹底すると強調したが、一度揺らいだ信頼を取り戻すのは容易ではない。

 国内では2016年に三菱自動車の燃費データの不正測定が判明し、17年には神戸製鋼所も検査データ改竄(かいざん)を公表した。その後も三菱マテリアルや東レ、日産自動車など多くのメーカーで不正が発覚。経営トップが引責辞任に追い込まれるなど社会問題化した。

 曙ブレーキでは18年に旧経営陣が不正を把握したにもかかわらず、問題を放置。現経営陣も19年11月に報告を受け社内調査を開始したが、緊急性はないとして1年以上も対外公表を怠ってきた。

 過去の不正事案では隠蔽(いんぺい)や公表の遅れが繰り返し問題視されたにもかかわらず、教訓が全く生かされなかった。

 曙ブレーキでは特定の従業員が長年検査業務に当たっており、上司や他の従業員によるチェック機能が働かなかった。不正のあった各顧客向けの個別検査には、全体の検査と重複する項目も多く、検査自体やデータ確認を軽視する傾向もあったという。

 高品質をうたってきた「メード・イン・ジャパン」の信用は揺らいでいる。背景には生産効率を優先する企業風土があり、信頼回復には経営陣や社員の意識改革が欠かせない。

【用語解説】曙ブレーキ工業

 1929年に「曙石綿工業所」として創業したブレーキ製造大手。米国市場で大口顧客の受注を逃したため経営が悪化し、債権者との協議で債務削減といった支援を受ける「事業再生ADR」を2019年に申請。企業再生ファンドの出資を受け入れて経営再建を進めている。有価証券報告書によると、20年6月時点の筆頭株主はトヨタ自動車、第2位株主はいすゞ自動車。20年末の連結ベースの従業員数は約6500人。

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