サントリースピリッツは１８日、基幹工場のサントリー大阪工場（大阪市港区）の国産ジンの生産能力を増強する計画を発表した。今秋着工し、２０２２年年初に稼働予定。投資総額は約３２億円を見込む。新型コロナウイルス感染拡大で飲食店需要が落ち込む一方、家庭向けの巣ごもり需要で国内ジン市場は拡大傾向という。
同社の国産ジンは高価格帯の「ＲＯＫＵ（ロク）」（７００ミリリットル瓶は希望小売価格税別４０００円）と、普及価格帯の「翠」（同１３８０円）の２商品。今回の投資で、両商品を生産している大阪工場の瓶詰めラインを増設し、生産能力を２倍以上に引き上げる。増産で、積極的に需要を取り込み、国産ジンの売上高を２４年に２０年比６．７倍の１００億円に引き上げる計画だ。
コロナ禍の昨年に発売した翠の年間販売数量は９．５万ケース（８．４リットル換算）と当初計画の３倍超と好調だった。飲食店向けがコロナ感染対策の営業時間短縮などで縮小した半面、巣ごもりの家飲みが増え、自分でソーダ割りなどを作って食事中にジンを楽しむ人が増えたという。
一方、ロクはジンの香味の元となる植物素材に桜やサンショウなど６種の和素材も用いる“ジャパニーズジン”で輸出に注力。昨年の国内販売は前年比約３割増の９０００ケースだが、海外販売の方が多く、世界の高価格帯ジン市場ではシェア３位を獲得した。
今年の国内販売目標は翠が前年比２．１倍強の２０万ケース、ロクは１０％増の１万ケースとしている。