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空の旅の回復は来年か 見通し後退、ワクチン効果は世界的に不透明

 新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった昨年末は、人々の間に明らかな高揚感があった。旅行関連のウェブ検索が増え、航空会社は運航再開への楽観を強めた。欧州最大の格安航空会社(LCC)ライアンエアーは「ジャブ&ゴー(ワクチンを打って出かけよう)」というキャンペーンまで始めた。しかし、現実はそうではない。

 変異株で管理強化

 まず、ワクチン被接種者が発症するリスクは低下するとしても、他人への感染を防ぐかどうかは明らかでない。感染力が強い変異株への効果も証明されておらず、オーストラリアや英国などは変異株の流行を受け、国境管理を緩和するどころかむしろ強化した。旅行需要を冷え込ませている自主隔離の義務付けに代わり、航空会社はデジタルヘルスパスポートの導入を呼び掛けているが、問題が多く、世界保健機関(WHO)の支持も得られていない。

 こうした暗い現実により、世界的に旅行が大きく回復するのは2022年以降になるとの見通しに後退した。

 多くの航空会社はあと数カ月分の手元資金しか残っておらず、それでは手遅れかもしれない。既に1年近く業務から離れているパイロットや客室乗務員、空港従業員ら数十万人が職を失うリスクがある。世界全体がつながっていた時代は戻らず、ばらばらで孤立した状態は長引く様相を見せている。

 WHO報道担当のマーガレット・ハリス氏は「現時点でワクチンについて分かっているのは、感染した場合に症状が悪化するリスクを極めて効果的に低下させるということだけだと理解してもらいたい」と強調。「感染を止めるかどうかについてはまだ、一切示唆されていない」と述べた。

 大半の国は及び腰

 ワクチンパスポートなど必要としなくても、旅行需要が自ずと回復する可能性は確かにある。ワクチン接種で新規感染者や死亡者数が減り始めれば、各国は自主隔離などの国境管理措置を緩和し、航空機搭乗前の検査で十分だと判断するようになるかもしれない。

 例えばアラブ首長国連邦(UAE)は入国時に陰性証明の提示を求める以外、入国制限をほぼ撤廃した。英当局は誤解を招く内容だとしてライアンエアーの「ジャブ&ゴー」広告を禁止したものの、同社のオリアリー最高経営責任者(CEO)は依然、欧州のほぼ全人口が9月末までに接種を受けると見込む。「その時点でわれわれは制限から解放される」とし、「短距離の旅行は力強く急速に回復するだろう」と語った。

 だが今のところ、大半の国は外国から旅行者を迎え入れることに及び腰で、少しでも問題があれば制限を強化する方向だ。アルトン・エビエーション・コンサルタンシーのディレクター、ジョシュア・ング氏は「航空旅客が回復するのは恐らく22年だろう。長距離旅行の再開は23年か24年までないと予測した。

 国際航空運送協会(IATA)は3日、最悪のシナリオで今年の航空旅客数は13%しか改善しないとの見通しを示した。(ブルームバーグ Angus Whitley、Jason Gale)

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