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飲んでみると普通のビール サントリーの糖質ゼロ

 サントリービールは24日、同社初となる糖質ゼロのビール「パーフェクトサントリービール」を4月13日に発売すると発表した。コロナ禍による健康志向の高まりで、アルコール飲料でも健康配慮型の機能を搭載した商品が人気を集めている。おいしさと機能を両立したスタンダードビールの商品として、糖質ゼロのビールを先に投入したキリンビールとの勝負を挑む。

 「新しい時代のスタンダードビールのど真ん中を作るため、あえて、新ブランドとして立ち上げる」

 都内で開いた会見で、サントリービール執行役員でマーケティング本部長の和田龍夫氏は力を込めた。サントリーのスタンダードビールの通年商品としては、平成27(2015)年発売の「ザ・モルツ」以来6年ぶりの大型商品だ。

 原料には自社の高価格帯ビール「ザ・プレミアム・モルツ」で用いる麦芽も採用。製造工程の麦汁の処理や発酵工程を工夫して、原料の麦芽由来のデンプンをビールに残すことなく、アルコール度数5・5%のビールらしい味わいを獲得した。市場想定価格(コンビニ店頭税抜き価格)は350ミリリットル缶で198円、500ミリリットル缶で255円。販売目標は令和3年4~12月は230万ケース(大瓶20本換算)、発売1年間では300万ケースにおいた。糖質ゼロの特徴から、ターゲット層は「ビール好きでたくさん飲みたいヘビーユーザー。平日はこちらを、休日はザ・プレミアム・モルツを飲んでもらいたい」(和田氏)という。

 開発には5年をかけており「麦芽比率50%以上、アルコール度数4・5%以上、ビール100ミリリットル当たりの糖質含有量0・5グラム以下」での特許も令和2年5月に取った。他社が糖質ゼロビールを作ろうとしても、この3条件を満たす場合は特許侵害に当たる状況も“確保”した用意周到ぶりだ。

 会見では記者向けに試飲も実施された。飲んでみると、ビールならではのホップ由来の苦みも、麦芽由来の飲みごたえもある。度数が5・5%と高めな分、スッキリさらりとした後味で、良い意味で“普通のビール”。ビールの商品特徴を表すのに使う、香りやコク、切れ味、飲みごたえといった点でも一般的なビールそのもので、突出したところはない。だが、発泡酒などの糖質ゼロ商品にありがちな、スッキリしすぎる感じはなく、糖質ゼロといわれなければ分からなかった。

 ビール類市場は令和元年10月の酒税改正に伴い、ビールは減税、第3のビールは増税されて価格差は縮小。10月以降は家庭用缶ビール販売は上向いている。一方で、消費者の意識はコロナ禍で健康意識が喚起され、発泡酒や第3のビールでプリン体や糖質を減らした機能系商品が伸長した。

 競合では、キリンビールが昨年10月に発売した国内初の糖質ゼロビール「キリン一番搾り糖質ゼロ」は今年2月中旬までに250万ケースを売り上げた。350ミリリットル缶換算の販売本数1億本を3月に達成する見込みという状況で、先行者利益を享受している最中だ。

 サントリーは二番手での市場投入だが「小売りバイヤーからも糖質ゼロの商品とは思えないと言われている」との高評価を強調。健康志向はコロナ禍後も継続すると見込む。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は2月12日の決算会見で「私自身もこうしたビールが欲しいと望んでいた。糖質ゼロでおいしいという“二兎”を追うことがいかに大切か感じてもらいたい」と自信を示していた商品だ。ビールとして本格派の顔ながら、糖質ゼロの機能性をまとう「パーフェクトサントリービール」。市場で、どんな略称で呼ばれることになるのか、注目していきたい。(経済本部 日野稚子)

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