大学発 日本 人と技術

日本を支える研究活動と技術開発

 ポルフィリンの官能基の修飾位置でがん細胞集積性が変化することを発見

 ≪東京理科大学≫

 理工学部先端化学科の東條敏史助教らの研究グループは、ポルフィリン誘導体のがん細胞への集積性に官能基修飾位置が大きく影響を与えることを発見した。

 ポルフィリンは、1個の窒素原子を含む五員環構造の化合物(ピロール)が4個と、炭素原子4個が交互に結合した大環状構造をとる化合物で、がん組織に集積する性質があることは古くから知られ、がんの診断に利用されてきた。しかし、ポルフィリンの官能基修飾位置によるがん細胞への集積性の変化については、系統立った研究はこれまで行われてこなかった。同研究では、異なる位置に官能基を付加したポルフィリン誘導体を用い、それらのがん細胞への集積性を調べ、各修飾位置の影響を評価した。

 研究成果について東條助教は、「ポルフィリンの官能基修飾位置ががん細胞の集積性に影響を与えることが明らかになり、この成果がポルフィリン医薬品の構造設計における新しいガイドラインとなることが期待される」としている。

 アーバン・エコ・モビリティ研究でシンポ

 ≪芝浦工業大学≫

 「アーバン・エコ・モビリティ研究拠点の形成」シンポジウムを3月2日午後、オンラインで開催する。このシンポジウムは文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」最終年度に、本事業に採択されたアーバン・エコ・モビリティを支える研究の成果を報告するもの。基調講演として札幌市立大学学長の中島秀之氏が「AI技術で支える社会とモビリティ」と題した講演を行うほか、「パワーエレクトロニクス領域」「高機能性材料領域」「自動走行領域」「ロボット・ネットワーク領域」の4領域から映像で研究成果を報告する。

 シニアカー(電動カート)の自動走行や、サービスロボットのシニアカー追従、追従する人の感情を推定しながらの移動、エレベーターの乗降などのデモンストレーションも行う予定。参加は事前申し込み制(https://)bit.ly/3cjc7VO)

 リフォーム提案活動に中国建築文化賞

 ≪広島工業大学≫

 教育活動「こだわりルームプロジェクト」が、今年度の日本建築学会中国支部建築文化賞(中国建築文化賞)を受賞した。学生が賃貸部屋の課題を解決するリフォーム案をデザインし、地元の不動産会社が改装して賃貸する連携活動が「人物・団体部門」に選ばれた。

 同プロジェクトによる産学連携は2011年度から続く。今年度は1、2年生の女子学生39人が8グループに分かれ、約3カ月かけて設計図と模型を作製。発表会で選ばれた最優秀賞のデザインで改装工事が行われた。

 中国建築文化賞は、同支部が中国地方の建築文化の発展に貢献した活動を顕彰するため04年に創設。初めて学生の教育活動が受賞した。

 実験用ローカル5G 埼玉県内の大学初導入

 ≪埼玉工業大学≫

 ITbookホールディングス、エイビットと共同で水陸両用無人運転技術の開発用にローカル5Gを導入し、埼工大キャンパス内(深谷市)で運用を開始した。第5世代移動通信システム(5G)は、高速大容量・低遅延・多接続の特長により注目されている。ローカル5Gを大学の実験試験用に導入する例は国内でまだ少なく、埼玉県の大学初の取り組みだ。埼工大とITbookホールディングスの子会社であるITbookテクノロジーは「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」における水陸両用バスの自動運転・運航システムの構築を進めている。ITbookホールディングスが「ローカル5G用無線局」の実験試験局免許を取得し、本実証事業における自動運転実験車両の遠隔監視や遠隔操作へのローカル5Gの有効性を検証することにしている。

 携帯ポータブルシールドを開発、製品化

 ≪工学院大学≫

 建築学部建築学科の鈴木敏彦教授は、「Withコロナの暮らしをデザインする」をテーマにポータブルシールドを開発した。外出や会合をせざるを得ない時のための携帯型アクリルパーティションだ。開発にあたった鈴木教授は、学生が気軽に携帯できるように厚さ2ミリのアクリルを選定し、「マスクを取ったときに対面席でも安心して食事したり、キャンパスで勉強に集中したりできるように」と考案の意図を語る。訪問先や飲食店でパーティションが置いていないテーブルに通されたときに、携帯していたポータブルシールドを取り出して卓上に設置すれば、他者に配慮しつつ自分の身を守ることができる。製本用リングで留めた厚さ2ミリのアクリル3枚は、観音開きやジグザクに開いて卓上に設置すると高さ45センチ、最大幅60センチになり、3つ折りに閉じると専用のバッグで持ち歩ける。重量は740グラムで、価格は6800円(税別)。販売元はATELIER OPA。

 青色LEDを用いた光無線給電技術を開発

 ≪東京都市大学≫

 同大の総合研究所の石川亮佑准教授らは、青色発光ダイオード(LED)と独自開発した太陽電池を用いた光無線給電技術を開発した。近年、電化製品やネットワーク機器などの多くが無線化する中で、離れた場所から電気を供給する技術への期待が高まっている。今回開発した新型太陽電池は、臭素系のペロブスカイト型で、従来の一般的なシリコン太陽電池と比較して、波長が短く高エネルギーの青色光を、効率的に電気に変換することができる。この新型太陽電池と青色LED、移動体を追尾する装置を組み合わせれば、屋外で移動するスマートフォンや電気自動車等への光無線給電が可能となる。今後は、民間企業と共同で10年以内の実用化を目指して移動体を追尾するシステムの開発に取り組む。この成果の一部は米物理学協会の専門誌「Applied Physics Letters」に掲載され、同誌のFeatured Articleに選ばれた。

 産学連携プロジェクトでAR落語を制作

 ≪大阪電気通信大学≫

 デジタルコンテンツ制作に取り組む『電ch!(でんチャン)』の産学連携プロジェクトの一つとして、AR落語の制作に取り組んでいる。近年広くメディアに広まり海外からの評価も高い落語をDX化することで、国内外問わず普段落語を見ない層への興味喚起を狙い、落語文化の一層の発展に寄与することを目的としている。昨年夏、落語家の桂米紫師匠を四條畷キャンパスにお招きし、同大の先端マルチメディア合同研究所 JIAMSのモーションキャプチャースタジオにて、モーションや音声などの収録を実施。モーションキャプチャー用のアクタースーツを着用した米紫師匠に落語を披露していただき、身体の動きを中心にデータ収録し、指の動きや表情、声などは工夫を重ね追加収録した。現在、WebXRという技術を用い、スマホ内のウェブブラウザ上でAR落語を楽しめるコンテンツを目指して制作を続けている。

 KITコーオプ教育プログラムの成果発表会

 ≪金沢工業大学≫

 データサイエンティスト養成に向けて産学協同で実施する「KITコーオプ教育プログラム」初の成果発表会が2020年12月21日、金沢市大手町にあるNTTマーケティングアクトで行われた。経営情報学科4年の細井勇希さんと心理情報学科4年の田中祐貴さんの2人が、企業の業務に4カ月間従事して得られた成果について発表した。コーオプ教育(Cooperative Education)は米国が発祥の産学協同教育。インターンシップが、企業により策定された職場体験に短期間、無給で参加するのに対し、コーオプ教育ではプログラムそのものを大学が主体となって作成し、学生が企業で実際の業務に長期間従事する。その間の給与も企業により支払われる。

 「KITコーオプ教育プログラム」は、金沢工業大学の教育で身につけた問題発見解決能力を企業の業務を通じて実社会のリアルな問題発見解決に活かしていくもので、20年度にスタートした。

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 【ガイド】

 工学院大学 E-mail:gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp

 芝浦工業大学 E-mail:koho@ow.shibaura-it.ac.jp

 千葉工業大学 E-mail:cit@it-chiba.ac.jp

 東京電機大学 E-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp

 東京理科大学 E-mail:koho@admin.tus.ac.jp

 東京都市大学 E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp

 大阪工業大学 E-mail:kikakuka@ofc.oit.ac.jp

 大阪電気通信大学 E-mail:kouhou@osakac.ac.jp

 金沢工業大学 E-mail:koho@kanazawa-it.ac.jp

 豊田工業大学 E-mail:s-koho@toyota-ti.ac.jp

 広島工業大学 E-mail:kouhou@it-hiroshima.ac.jp

 愛知工業大学 E-mail:d-koho@aitech.ac.jp

 埼玉工業大学 E-mail:kikaku@sit.ac.jp

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