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総合商社「脱炭素」加速 石炭火力撤退や一般炭権益売却進む

 三菱商事がベトナムで計画している石炭火力発電プロジェクト「ビンタン3」から撤退する方針を固めるなど、総合商社各社は、脱炭素に向けた取り組みを加速している。伊藤忠商事が発電用の石炭権益のすべてを売却する方針を表明するなど二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭関連事業を縮小させる。地球温暖化対策としての温室効果ガスの排出削減に対応し、ESG(環境・社会・企業統治)経営の強化を図る。

 三菱商事は新たな石炭火力発電事業は手掛けない方針だったのに加え、着工が大幅に遅れているビンタン3の撤退を決めた。発電用石炭(一般炭)の権益も令和元年までに売却を完了している。炭素に向けた各種の動きを成長戦略として、新たな収益源に育成する方針も掲げる。

 伊藤忠は同社が保有する一般炭権益の8割を占める南米コロンビアの鉱山権益を来年度中に売却する。残りも令和5年度までには売却し、一般炭権益からは完全撤退する。三井物産はモザンビークのモアティーズでの炭鉱事業と関連する鉄道・湾港の権益を、共同経営するブラジル資源大手ヴァーレに譲渡する。

 住友商事は、石炭よりCO2削減は少ないとされる米シェールオイル開発事業から撤退。昨年度までにペンシルベニア州で保有していた権益を売却したのに続き、テキサス州の鉱区の権益をこのほど売却し、完全撤退した。米バイデン政権が脱炭素政策を強め、事業の採算性が懸念されたことも背景という。

 また丸紅は、平成30年度時点で300万キロワットあった石炭火力の総発電容量を令和12年をめどに半減させる方針だ。

 市況変動が業績の不確定要素になるとして、総合商社各社は石炭などの資源事業比率を引き下げる方針を打ち出していたが、現在でも収益の大きな柱となっている。だが環境問題への対応が迫られており、石炭火力発電に関連した事業の縮小を進める。

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