テクノロジー

バイオガスの余剰熱で果物、水耕メロンなど栽培 北海道・新得

 北海道東部の新得町で、やっかいものとして扱われてきた牛の糞尿(ふんにょう)を活用した発電の余剰熱による果物の生産が始まっている。最近では百貨店で収穫されたメロンの販売もスタート。バナナの生産にも取り組み始め、生産者は「いつかは町の特産品に」と意気込んでいる。

 昨年10月下旬、新得町の「友夢牧場」。大型のビニールハウスに入ると、至る所に温水が流れるパイプが張り巡らされ、外が約8度と冷え込むのとは対照的に30度と汗ばむような温度に保たれていた。中央には高さ3メートルを超えるバナナの茎がずらっと並び、それぞれに青い実が50本程度下がっていた。

 牧場では乳牛1100~1200頭を飼育しているが、1日の糞尿は約80トンにもなり、処理費用がかさむことに長年頭を悩ませてきた。

 牧場主の湯浅佳春さん(71)は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が適用されることもあり、約13億円かけてバイオガス発電のプラント設備を導入、2016年4月に糞尿を利用したプラントが稼働し始めた。発電量は約400キロワット時で北海道電力に売電している。さらに発生する余剰熱を活用できないかと、18年から東京都町田市の商工会議所や企業が連携して生み出した栽培方法を参考に、メロンの水耕栽培にも着手。

 日中は室温を30度以上に保つ一方、夜間は外の空気を取り込み18度程度に下げるなど工夫し、18年夏に初収穫したメロンは高級品として扱える糖度17~19度と高糖度のものに。今では年間に1000玉以上を収穫し、町のふるさと納税返礼品として扱われたり、北海道帯広市内の百貨店で販売されたりしている。

 さらに19年夏には一般に流通するものより糖度の高い「グロスミシェル種」など4種のバナナの栽培にも挑戦。苗10本を植えたところ、20年5月に実をつけた。定期的に肥料をまいたり雑草を刈り取ったりする以外に必要な作業はほとんどなく、湯浅さんから生産を任される丸橋徹也さん(34)は「勝手に育ってくれるので非常に楽」という。

 今後、収益性を高めるため、流通量の少ない真冬にバナナやメロンを収穫することにも挑む。「北海道では珍しい果物を工夫してつくることによって、町おこしに結び付けばいい」と丸橋さんは話した。

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