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中国検索大手バイドゥ長年のAI投資結実へ アプリ収益化めど、香港上場も視野

 中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)が長年続けてきた人工知能(AI)への投資が電気自動車(EV)やスマートスピーカーの収益化につながり、実を結びつつある。同社の株価は新型コロナウイルスなどの影響で3月半ばに安値を付けてからほぼ3倍に急伸し、香港株式市場への上場も視野に入った。

 自動運転EVで提携

 調査会社THキャピタル(天●資本、●=瀬の束が景)の創設者、侯暁天氏はリポートで「AIは数年前には人気があったものの、実社会でアプリを手掛けるのは容易ではなく、凪(なぎ)状態だった。ただこれらのアプリが1つずつ世に出て、もっと大規模に収益化すれば、百度は株価収益率の上昇を享受する可能性が高い」と指摘する。

 創業21年目の百度は、検索結果画面に表示される広告を販売するネットマーケティング会社と見なされ、かつてはアリババグループ、騰訊控股(テンセント)と並ぶ中国の3大IT企業の一つだったが、パソコンから携帯端末への移行の動きに遅れまいと躍起になっている。

 一方、未来のスマート機器やスマートビークルに期待して、言語学習や音声対話、自動運転などの分野に数十億ドルを投資した。当初こそ問題にぶつかったが、今では研究開発(R&D)への長年にわたる着実な投資と中国政府による全国的なスマートインフラ開発への重点的な取り組みに支えられ、ついに複数の製品化にこぎ着けた。1月にはスマートEVの生産で中国自動車大手、浙江吉利控股集団(吉利集団)との提携を発表。関係者によると、この提携は百度によるAIを活用した自動運転技術「アポロ」を多くの車両に搭載することが狙いだ。

 新たなEV事業の企業価値について、大和証券キャピタル・マーケッツ香港のアナリスト、ジョン・チョイ氏らは320億ドル(約3兆4000億円)と評価する。国内EV同業の企業価値を基準にしたもので、2023年の同事業部門の収入は83億ドルに上ると予想。1月には「百度は21年に技術の価値を解き放つために尽力するだろう」とみていた。

 外部からチップ資金

 百度のAI搭載アプリは初期段階のもので、技術への投資によって利ざやが圧縮され続ける可能性は高い。同社は事業拡大のため、外部から資本を仰いでいる。スマート・スピーカー部門は昨年初めて、単独で29億ドル規模の資金を調達。関係者の話では、同部門は将来の事業スピンオフ(分離・独立)に先駆けて、AIチップ部門向けの資金を調達するために、ベンチャーキャピタル(VC)のIDGキャピタルやGGVキャピタルなど複数の投資家に接触したという。

 関係者によると、百度は同時に、同社にとって過去最大規模のシンジケートローンで新たに30億ドルを調達しようとしている。百度は香港での株式公開で35億ドルを調達する予定といわれており、こうした資金調達はそれに先立つものだ。今年上半期の香港上場に向け、CLSAとゴールドマン・サックスを起用したという。

 シティのアナリスト、アリシア・ヤップ氏はリポートで「最悪の事態は既に過ぎたようであり、広告の先行きに関する予想が肯定的なものになる可能性は高い。今後数カ月の間、EVと自動運転に関する報道が株価上昇の勢いを支え続ける公算は大きい」と指摘した。(ブルームバーグ Zheping Huang)

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