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日本企業、ライブコマース本腰 動画実演販売で中国に訴求

 新型コロナウイルスの流行で途絶えた中国人客の消費をつかもうと、日本企業が動画配信を使ったインターネットの実演販売を強化している。ライブコマースと呼ばれる手法で、消費者に影響力を持つ中国人を演者に起用することが多い。企業トップが自ら商品を売り込む事例も出てきた。

 ネット著名人を活用

 コロナ以前は訪日客でにぎわっていた大阪・ミナミ。心斎橋パルコ(大阪市中央区)の特設スペースに昨秋、若い男女が現れた。2人は衣料の実演販売を手掛ける米国発の新興企業「ショップショップス」が手配した在日中国人で、ネット上で影響力を持つ「インフルエンサー」としての顔を持っている。

 「あなたの身長はどれくらいなの」「96番の商品を見せてほしい」「素材を教えて」。男女の持つスマートフォンに、アプリを通じて客から次々と質問が寄せられる。男女はハンガーラックにつるした大量の冬物衣料を着ては脱ぎ、冗談を交えつつデザインや着心地を中国語で解説していた。

 同社のアプリ利用者は約60万人で、ファッションへの関心が高い中国の35~40歳の女性が中心だ。この日は「アダムエロペ」などのブランドの商品を計約7時間の長丁場でアピールした。

 「中国内での認知度を向上させ、コロナ禍が落ち着いた時に来店してもらうことも期待している」とパルコの担当者は話す。

 中国でライブコマース市場は急拡大している。2020年の市場規模は約17兆3500億円で、21年は倍近くまで膨らむとの試算もある。日本企業を支援する仲介業者は「リアルタイムで細かくやり取りできるのが利点で、コロナ禍を受けた外出制限で認知度が広がった」と解説した。

 好機とみるのはアパレル関連に限らない。化粧品大手の資生堂や旅行商品を取り扱うJR西日本などの大手も取り組みを強化している。中小、中堅企業も関心を寄せる一方、この仲介業者は「ブランド力のある大手は中国のネット通販事業者から声が掛かるが、そうでない場合は自力で販路や物流網を開拓しないといけないのでハードルが高い」と指摘する。

 トップが売り込み

 大阪商工会議所は昨秋、ノウハウが不足しがちな中小、中堅企業を対象に在日中国人講師によるセミナーを開催した。講師が「試してみたらマンションでさえ売れた」と力説し、聴衆は熱心にメモを取っていた。

 中国に拠点を構える家電メーカーにとってもライブコマースはなくてはならない存在だ。足元で中国の家電売り上げの約5割をネット通販が占めるパナソニックでは、社内カンパニー「中国・北東アジア社」の本間哲朗社長が動画出演する。

 本間氏は「コロナ禍で買い物の場が急速にネットに推移した。トップ自ら変化に対応することで社内に範を示す意味もある」と説明する。移り変わりが激しい超巨大市場を前に日系企業の試行錯誤は続く。

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