金融

みずほ銀ATM障害、2つの判断ミスで傷深め…デジタル戦略にも暗雲

 みずほ銀行のATM(現金自動預払機)で出金できなくなるなどの障害発生から、7日で1週間。同行は6日、障害の発端となった1年以上記帳のない定期預金口座のデジタル化について、残りの作業を見送った。コスト構造改革とコンサルティング力向上のためのみずほ銀のデジタル戦略は、運用面のまずさから、多くの顧客に迷惑をかける失態につながった。

2つの大きな判断ミス

 2月28日に発生したシステム障害では、運用面について、大きく2つの判断ミスがあった。

 1つ目は、不稼働の定期預金口座のデジタル口座への切り替えと定期預金の月末更新の2つの作業を同時に実施したことだ。基幹システムに想定を超える負荷がかかり、それがATMの障害につながった。

 定期預金は月末に期日を迎えるケースが多いことに加え、日数の少ない2月は取引量が集中しやすい。同行の片野健常務執行役員も「月末で取引量が多く、その影響を見誤った」と判断ミスを認める。

 2つ目は、顧客対応の遅れだ。キャッシュカードや通帳がATMから取り出せなくなった事案は計5244件。日曜でコールセンターの人員が少なく、ATM障害の広がりを把握するのに時間がかかったことが被害拡大に拍車をかけた。

 ATM障害は午前11時ごろから始まっていたが、同行が全営業店に行員の出勤を指示したのは午後2時半。カードと通帳について大方の返却のめどがつくまで、およそ4日を要した。

コスト削減へデジタル移行狙ったが…

 デジタル口座は、みずほ銀が昨年8月に打ち出したデジタル戦略拡大の施策の一つ。今年1月から、紙の通帳を一部有料化し、新規開設口座のうち、7割程度のデジタル口座への移行を見込んでいた。

 狙いはコスト削減だ。たとえば紙の通帳は1口座につき、毎年200円の印紙税が発生する。低金利で厳しい事業環境が続く中、重い負担となっていた。

 不稼働の口座は自動的にデジタル口座に移す。今年2~3月に作業を実施する計画だったが、作業中断により、他メガバンクより出遅れていたデジタル口座の導入拡大はいったん足踏みする形となる。

 「ハード面のみならず、運用面、みずほ固有の要因を含めて点検していく必要がある」。藤原弘治頭取は1日の記者会見でこう述べ、立て直しを急ぐ考えを示した。

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