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iPhone生産大手「TSMC」が求める“メイドインジャパン部材”の中身 (1/3ページ)

 日本に研究開発拠点を設置すると発表

 世界の半導体産業に重大な地殻変動が起きている。2020年春先以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界的にデジタル・トランスフォーメーション(DX)の流れは加速し、半導体業界の趨勢は世界経済全体に大きな影響を与えている。回路線幅5ナノ(10億分の1)メートルの最先端から汎用型に至るまで半導体需要は拡大しており、世界的に需給はかなりタイトになっている。

 そうした状況下、半導体供給者としての存在感を発揮しているのが半導体受託製造企業(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)だ。TSMCは台湾の株式インデックスである“台湾加権指数(TAIEX)”を構成する最大の企業である。同社はわが国の企業と連携して、茨城県つくば市に研究開発拠点を設立する方針を発表した。最先端の半導体製造技術を確立し、韓国サムスン電子や中国勢との競争をより有利に進めている。

 その取り組みを米国も重視し始めた。バイデン政権は半導体に加え、レア・アース(希土類)、大容量バッテリー、医薬品の4品目を戦略物資に指定し、透明かつ安定した調達を目指す。今後、半導体のサプライチェーンを中心に日米台の連携は強化されるだろう。それは、わが国の企業がさらなる成長を目指すための追い風といえる。

 「設計・開発」と「生産」の分離が進む半導体産業

 リーマンショック後の世界経済を支えた主な要因の一つは、米国のIT先端企業のイノベーションだ。大きかったのがアップルの“iPhone”のヒットだ。それは、スマートフォン需要を生み出し、アマゾンなどITプラットフォーマーの成長を勢いづけた。また、スマホの出現はSNSという新しいビジネスモデルの創出も支えた。需要の獲得と創出のためにデータの重要性が高まり、その保存と分析を支える半導体への需要は加速度的に高まった。それが、21世紀が“データの世紀”と呼ばれるゆえんだ。

 アップルなどは自社製品のより良い機能の発揮を目指して、半導体の設計と開発に取り組んでいる。ファウンドリーであるTSMCはその生産を受託し、世界の半導体産業全体で設計・開発と生産の分離が勢いづいた。特に、TSMCは回路線幅の微細化を強力に推進し、米インテルや韓国サムスン電子との差は拡大しているように見える。

 「米中貿易戦争」のあおりで受注が殺到

 コロナショックの発生によって、TSMCをはじめ台湾半導体産業が世界経済に与える影響の大きさは一段と鮮明だ。感染拡大によってテレワークが増え、巣ごもり需要のためのゲーム機やデジタル家電需要も高まった。一時生産が落ち込んだ自動車のペントアップディマンドも発現し、世界全体でより多くの半導体が必要とされている。世界の半導体生産がTSMCなどに集中し、需給は逼迫している。

 世界的な半導体の需給逼迫には、米国のトランプ前政権の政策も影響を与えた。トランプ政権は、半導体に関する米国のソフトウェアや製造技術が中国に渡らないようにするために、中国のファウンドリー大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)に制裁を科した。その結果、TSMCにより多くの生産委託が舞い込んだ。

 以上をまとめると、コロナショックの発生によって世界経済の成長に半導体が無視できない影響を与えることが、これまで以上に明確になった。その結果、世界経済への半導体の供給者としてのTSMCの重要性は一段と高まっている。

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