丸紅は9日、2050年までにグループの温室効果ガス排出ネットゼロを目指す「気候変動長期ビジョン」を発表した。
具体的な取り組みの一つとして、主力の発電事業では二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電の容量を実質ゼロにすることを盛り込んだ。
ビジョン実現に向けては30年までの行動計画も策定。紙パルプ事業が持つ森林資産を活用し、CO2吸収・固定化の蓄積量を、現状の1100万トンから30年までに1900万トンと約7割増やす目標を掲げた。
さらに石炭火力発電の容量を、18年比で半減させる目標の達成時期を当初予定の30年から5年前倒しし、25年とした。
同時に、脱炭素に向けた取り組みが全世界的で本格化することから、CO2の排出がない代替エネルギーなど、同社が手掛ける温室効果ガス削減に関連した事業を収益に生かす考えだ。
総合商社では既に、住友商事が50年までのカーボンニュートラル達成の目標を公表しているほか、双日もこのほど、50年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指す「脱炭素方針」を取りまとめた。
多額の資金を調達して事業を展開する商社としては、投資家らが注目するESG(環境・社会・企業統治)経営を進めていることをアピールする必要があり、各社とも環境対応やCO2削減方針を強化している。