24年12月に誕生したブランド「ミガキイチゴ」は全国の百貨店などでも取り扱われ、オンラインストアでは贈答用の最高級品(420グラム)に5500円の値がつく。ミガキイチゴの栽培ノウハウをインドでのイチゴ栽培に活用する事業も実現した。
東北随一のサーフスポットとしても有名な山元町には若い人の移住も増えている。GRAによって近代化した農業も新たな雇用と産業を生み出す起爆剤となっている。
クラウドファンディング「困っている人の支えに」
不特定多数からインターネットを通じて資金を集めるクラウドファンディング(CF)の運営企業の先駆け的な存在である「レディーフォー」(東京都千代田区)にとって、東日本大震災は新たな使命を担うきっかけだった。
「ボランティアも足りないし、当面の復旧活動に必要な資金がない」
東日本大震災から2カ月ほどたった23年5月、米良はるかCEO(33)は、当時会社があった東京都内のアパートの前で、仙台から来たという2人の大学生から切実な訴えを聞いた。
大規模災害発生時は日本赤十字社が窓口となり義援金を受け付ける。しかし義援金は被害状況を踏まえて配分額が決まるため、支給までに時間がかかる。一方、復旧に携わる支援団体などに直接寄付する「支援金」制度もあるが、マスコミなどで広く募集が告知される義援金に比べて注目度は低い。
レディーフォーは震災時の経験を機に、大規模災害発生の度に復旧支援団体がCFで資金を集める活動を応援してきた。令和2年7月に各地で起きた豪雨災害では、1カ月間に約1380万円を集め、被災地で復旧支援にあたるボランティア団体に届けた。