経済インサイド

コロナ禍でサブスクに勢い 大丸松坂屋が百貨店初の婦人服、各分野で利用者急増

 新型コロナウイルス感染拡大を背景に、月単位などの定額料金の支払いで商品やサービスを使えるサブスクリプションサービスの展開が勢いづいている。百貨店大手の大丸松坂屋百貨店は12日、婦人服のサブスクサービスを始めると発表した。百貨店としては初めての衣料品サブスクで、5年後で3万人の会員獲得を目指すという。ビールや自動車などのサブスクも利用者が伸びており、コロナ禍による需要の変化をとらえているようだ。

 大丸松坂屋が打ち出した婦人服サブスク「AnotherADdress(アナザーアドレス)」は、1カ月に3着まで国内外50ブランドの中から選んでレンタル利用できるサービス。月額利用料は送料やクリーニング費用などを含め1万1880円で、12日に事前登録を始め、4月のサービス開始を予定する。

 婦人服サブスクは先行事業者も多いが、アナザーアドレスは百貨店事業を通じて構築したブランドとの信頼関係が強みだ。3千着程度の品ぞろえから始め、5年後には20万着で会員数3万人、売上高55億~60億円を目指す。この間に紳士服やスポーツ用品、住宅関連品などでも定額課金サービスを投入する方針だ。

 百貨店業界は新型コロナ感染拡大で売上高の縮小が続き、新たな事業展開を迫られている。衣料品分野でのサブスクは収益源の衣料品販売と需要を奪い合う可能性もあるが、大丸松坂屋の澤田太郎社長は12日の説明会で、「サブスクがリテール(小売販売)に100%とって代わることはない。サブスクで体験してファンになったら購買する。将来(の消費者は)使い分けるようになる」と話す。

 他のサブスクサービスでは、コロナ禍の外出自粛生活の長期化で家庭内での暮らし方にメリハリをつけたいというニーズをくみとり、利用者拡大につながっている例も目立つ。

 キリンビールの会員制生ビール宅配サービスは、1杯(330ミリリットル)当たり385円~と缶ビールと比べ割高だが、令和2年は申し込みが殺到、一時は8か月待ちとなった。今年は現在の3万人から10万人達成を目指す。

 日比谷花壇が展開する切り花を加盟生花店で受け取ることができるサービスでは、昨年2月に1万人だった会員数が今は約3万人まで増えた。新規顧客開拓や需要創出が目的だったが、「コロナ禍でイエナカ生活が増え、家庭向け生花の需要が伸長」(担当者)したのも追い風になった。

 トヨタグループで乗用車サブスクを展開するKINTO(キント、名古屋市)も好調だ。昨年1月に対象車種を拡大し、5月には契約プランを追加してサービス拡充に取り組んだことが功を奏し、6月以降は月間申し込み件数の1千件超えが続く。「コロナ禍でプライベート空間としてのマイカー需要が高まったのも一因」(広報)とみられ、カーシェア利用者の“乗り換え”も起きているという。

 矢野経済研究所が2年4月に発表した調査によれば、食品や日用品、音楽や映像などデジタルコンテンツを含めた国内サブスク市場規模は元年度は6835億円。その後は二桁成長を続け、5年度は元年度比61・2%増の1兆1021億円に達すると予測する。

 大丸松坂屋の澤田氏は「商品を売って終わりではなく、サブスクは商品が行き来し、利用者アンケートなどを含めデータが収集できる。これらをアパレルに打ち返してモノづくりにも貢献できる」と期待を寄せる。アフターコロナを勝ち抜くヒントを収集する手段としても、継続利用率を維持できるかが鍵になりそうだ。(日野稚子)

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