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宇宙ベンチャー、世界を牽引 スペースデブリ除去衛星を20日打ち上げ

 ロケットの一部や運用を終えた人工衛星などによるスペースデブリ(宇宙ごみ)。大きさが1センチ以上のものだけでも50万個以上あるとされ、しかもそれらが秒速8キロで飛び交っており、人工衛星に衝突すれば、気象観測やGPS(衛星利用測位システム)にも大きな影響を与える。「宇宙の環境問題」ともいえるデブリの除去に向けて、日本の宇宙ベンチャーが相次いで立ち上がった。

 2013年設立の宇宙ベンチャー、アストロスケール(東京都墨田区)は20日午後3時7分(日本時間)、世界初のスペースデブリ除去実証衛星「ELSA-d(エルサディー)」をカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げる。

 衛星は模擬デブリと捕獲機で構成。宇宙空間で分離し、きちんと捕獲できるかを検証する。回転する模擬デブリの捕獲や、離れた場所から模擬デブリを探索できるかも確認する。

 磁石で捕獲・回収

 模擬デブリにはあらかじめ強磁性の「ドッキングプレート」が装着されており、磁石によって捕獲機とくっ付けて回収する。捕獲されたデブリは、捕獲機と一緒にそのまま大気圏に突入して燃え尽きる。実用化の際には、打ち上げられる衛星にあらかじめドッキングプレートを装着してもらう。これにより、デブリを効率的に取り除く。

 アストロスケールの岡田光信最高経営責任者(CEO)は、「衛星が周回する軌道は、地上で車が走る高速道路のようなもの。故障した衛星の除去や燃料の補給など宇宙空間のロードサービスが求められている」と話す。

 デブリ除去を目指す宇宙ベンチャーはアストロスケールだけではない。人工流れ星の開発に取り組むALE(エール、東京都港区)も19年1月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や神奈川工科大学などとともに、デブリ除去技術の開発に乗り出した。

 導電性テザーと呼ばれる長いひもを宇宙空間で展開し、地球の磁場を使い衛星を軌道から外す。導電性テザーもあらかじめ打ち上げられる人工衛星に積んでおき、運用終了の際に衛星から導電性テザーを垂らす。収納性にも優れ、小型化が進む衛星内部にも搭載しやすいのが特徴だ。21年度中の実証実験を目指す。

 ALEはこのほか、中島田鉄工所(福岡県広川町)と東北大学が共同で開発した別のデブリ除去技術を採用。運用終了時に衛星の周囲に膜を展開させ、わずかに発生する大気の抵抗の力で衛星の軌道離脱を促す。こちらは19年12月に技術実証が完了。23年に世界で初めて放出予定の人工流れ星を積んだ衛星にも使われている。

 4400機以上が周回

 一連のデブリ除去技術の開発を進めるため、ALEはベンチャーキャピタルなどから総額22億円の資金を調達した。

 3月20日にカザフスタンから打ち上げられるロケットには、アストロスケールのデブリ除去衛星とともに、宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)が福井県から開発を受託した小型衛星も積まれる。

 1957年、世界で初めて当時のソビエト連邦が打ち上げて以来、8000もの人工衛星が宇宙に送り込まれ、そのうち約4400機以上が地球を周回している。ベンチャー企業を中心に小型衛星の打ち上げは増える一方だ。過密状態にあるだけでなく、故障した衛星との衝突なども増えている。宇宙の持続可能な利用が求められる中、日本発のデブリ除去技術が世界をリードする。 (松村信仁)

 導電性テザーによるデブリ衛星落下の仕組み

 デブリ化した人工衛星からひも状の導電性テザーが放出されると、地球から発する磁場「地球磁場」との反応でテザーに電流が発生。さらに磁場の方向と逆の方向に働く「ローレンツ力」が起きる。これにより、デブリ化した衛星の周回速度が徐々に遅くなり、自然と軌道から離脱。そのまま大気圏に突入して燃え尽きるという。

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