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春闘、トヨタなど満額回答 同一業界でも目立つばらつき

 令和3年春闘で、トヨタ自動車や日産自動車など自動車大手は、労働組合の要求に対して満額回答で応じた。ただ、両社の労使は、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を実施するかどうかは明らかにしていない。一方、電機大手の労組はベアの統一要求にこだわったが、会社側の回答は前回に続き内容にばらつきが生じた。同一業界で賃金改善に取り組む横並びの動きは一段と弱まっている。

 「組合員の頑張りに感謝し、賃金・賞与については要求通りとする」

 17日に行われたトヨタの最終の労使協議会で、豊田章男社長は組合側に満額回答を伝えた。

 トヨタは新型コロナウイルスの影響で昨年落ち込んだ販売が回復。年明けに世界的な半導体不足が深刻化するなかでも、東日本大震災を教訓に強化した部品調達体制を生かし、生産への影響は抑えられている。

 豊田氏は「今のトヨタには賃上げ以上に、リード役として求められていることがある」とし、二酸化炭素(CO2)の排出抑制推進やデジタル化への対応を課題に掲げ、競争を勝ち抜くため「人への投資」で労使の考えが合致しているとの姿勢を示した。

 また、コロナ禍による業績悪化などを背景に、ホンダの労組は今回の春闘でベア要求を見送ったが、集中回答日の1週間前の10日に、年間一時金(ボーナス)5・3カ月分の満額回答を得た。異例の早期妥結の理由を、会社側は「将来に向け労使でスピード感を持って改革に取り組んでいくためだ」と説明した。

 自動車総連の高倉明会長は主要メーカーの回答状況について、「充実した議論を行い、将来につながる価値ある回答を引き出すことができた」と評価した。

 一方、各社がベアの要求額と回答額をそろえる統一交渉を平成31年まで続けてきた電機連合は前回春闘から、業績のばらつきなどを背景に回答額に差が出ることを認めている。

 今回は、前回を千円下回る2千円以上のベアを統一要求方針として掲げた。コロナによる業績の落ち込みは比較的小さいとの指摘もあるが、「かなり厳しい交渉となった」(神保政史中央執行委員長)。

 終盤で妥結目標を千円以上とした結果、日立製作所は1200円と回答。パナソニックはベアと年金拠出額の合計で千円、三菱電機と東芝、富士通はベア千円、NECはベアと福利厚生に使える社内ポイントで合計千円とし、横並びの構図が崩れる結果となった。(宇野貴文)

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