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NTTドコモ・ベンチャーズが投資方針 変化の大波に能動的に適応

 国内有数のコーポレート・ベンチャーキャピタルであるNTTドコモ・ベンチャーズ(東京都港区)は、今後の投資方針を示し、投資・育成中のスタートアップ企業を紹介するイベント「NTTドコモ・ベンチャーズデイ2021」を開催した。

 グループと35社協業

 この中で、新たに2社に出資したことも明らかにした。今年で6回目を数える同イベントのテーマは「Adapt To TheFuture~新しい日常、その先へ~」。感染症対策のため初のオンライン開催となり、全国の起業家や起業に関心のある人たちを中心に約1200人が参加を申し込んだ。

 9日に行われたイベントの冒頭、親会社NTTドコモの井伊基之社長がビデオメッセージで、「ドコモはNTTの完全子会社となり、自らを変革・進化させているところだが、生まれ変わるためにはイノベーションを起こすことが必要だ。その引き金となるスタートアップ企業の皆さん、ぜひ一緒に、世界をあっと驚かすイノベーションを起こしましょう」と会場に呼び掛けた。

 続いてNTTドコモ・ベンチャーズの稲川尚之社長が基調講演。過去1年の取り組みを説明するとともに、今後の投資・育成活動に取り組む基本方針などを明らかにした。それによると、2020年は11社に新規投資し、このうち4社が海外の企業で、投資先のグローバル化が一段と進んだ。また、投資先に対するインキュベーション(育成)活動の一環として、35社がドコモをはじめとするNTTグループと協業することになったという。

 その一例として、米オッター・エーアイがNTTドコモと英語書き起こしサービス「Otter」の独占販売契約を締結、同日から販売開始すると発表した。また、この1年で5社が東証マザーズに上場するなど投資先企業が順調に成長。投資によらず、若いスタートアップ企業を支援する半年間のインキュベーションプログラムでは19年開始以来累計12社を支援。今年1月からの第4期では5社を採択したことも明らかにした。

 DXなど一気に加速

 稲川社長は「(コロナ禍で)予測できない変化が一気に起こった」と、この1年を振り返り、「DX(デジタルトランスフォーメーション)などの変化が加速しており、今までレガシー領域だったところも大きく変化するとみられ、その変化にどう対応していくかがわれわれの喫緊の課題だ」と今後を展望。「大きな変化の波に対して、自ら能動的に適応(adapt)できるかどうかが問われている」と、今回のテーマに込めた思いを述べた。

 この中で、2社に新規投資することも発表。このうちスウェーデン企業のクロッサー・テクノロジーズは製造業向けに工場内機器のデータ処理・加工・活用に関する機能をトータルで提供するプラットフォームの開発会社。ストックマーク(東京都港区)は日本語や英語の文章を解析する人工知能(AI)を用いて、企業のデータドリブン(経験や勘に頼らずデータ分析に基づくこと)な意思決定をサポートするソリューションを提供している。

 イベントではこのほか、俳優の別所哲也氏と稲川社長による対談やスタートアップ企業の経営者3人による対談、同6社のプレゼンテーションなどが行われた。

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