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ビスタホテルマネジメント/じゅう 宿泊業者、コロナ禍で見通し立たず

 ▼ビスタホテルマネジメント

 ビスタホテルマネジメントは3月11日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

 シンガポール上場のUNI-ASIA GROUP LIMITEDの系列企業として、ビジネスホテル「ホテルビスタ」を経営していた。主にビジネス客を対象に事業を展開し、2019年12月期は売上高71億1450万円をあげていた。外国人旅行客の利用割合は比較的低かったが、東京オリンピック・パラリンピックに伴うインバウンド(訪日客)需要の増加を見込み、19年末から20年にかけて5館を新たに開業するなど事業の拡大を図っていた。

 しかし、20年に入り、新型コロナウイルス感染拡大に伴う旅行需要の激減や、東京オリンピック・パラリンピックの延期を受け、売り上げが減少。新規開業費用や運転資金負担の重さで資金繰りが悪化する中、金融機関へのリスケジュールの要請などでしのいできたが、支えきれず今回の措置となった。ホテルは休業せず営業を継続中。

 ▼じゅう

 じゅうは2月24日、福岡地裁から破産開始の決定を受けた。

 「JGMマンション」シリーズの分譲マンション販売を手掛けていたJUグループの一社で、複数の関連会社とグループを形成していた。

 マンションデベロッパー事業を展開し、分譲マンションのほか商業ビルなども手掛け、福岡を中心に九州全域に営業エリアを拡大。ピーク時の1997年12月期には約128億円の売上高を計上し、地場有数のマンションデベロッパーに成長していた。

 しかし、その後は販売の伸び悩みで不良在庫を抱え、金融債務が膨らみ財務内容が悪化。2003年には取引金融機関から役員が入り、再建を目的に事業をジェイジーエムに一元化。じゅうは04年10月、ジェイジーエムに事業を移管した後は、休眠状態となっていた。

 その後、ジェイジーエムは金融機関主導で再建を進めていたが、業績は回復せず事業継続が困難となり07年11月、破産を申請していた。

【会社概要】ビスタホテルマネジメント

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽設立=2006年9月

 ▽資本金=5000万円

 ▽負債額=約30億円

【会社概要】じゅう

 ▽本社=福岡市中央区

 ▽設立=1983年1月

 ▽資本金=5000万円

 ▽負債額=約57億3000万円

 〈チェックポイント〉

 ビスタホテルマネジメントは高級仕様で人気を集めたがコロナ禍が直撃した。好調のインバウンドの先に五輪需要も見据えていたが状況が一転し、体力も限界に達した。五輪をめぐってはいまだ議論が続き、先行きは不透明。見通しを立てにくい状況下で、関係する宿泊業者の多くがギリギリの経営を続けている。

 じゅうはかつて地場有数のデベロッパーとして知られたが、積極展開が裏目に出て経営が悪化。金融機関主導によるグループ再編と清算の道をたどった。資産処理などに時間を要し、営業停止から15年以上が経過した。往時の勢いを知る人は少なく、多額の負債とは裏腹に粛々と既定路線の倒産手続きとなった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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