2021年の公示地価では、新型コロナウイルス禍でインターネット通販の需要が高まり、大型物流施設に適した地点を含む工業地の上昇が目立った。東京外郭環状道路(外環道)の沿道地域にある千葉県松戸市の地点ではプラス10.8%、首都高速道路沿いの横浜市の地点はプラス11.1%と2桁台の上昇となった。
商品取引額に占める電子商取引(EC)の割合を示す「EC化率」は年々上昇し、コロナ禍に伴う巣ごもり需要でさらに伸長している。こうした需要動向を背景に、大手デベロッパーや住宅メーカーなどが物流施設の整備を積極的に進めており、用地取得の競争が過熱し地価上昇につながっている。
「EC市場拡大に伴う物流施設の賃貸需要は想像以上に高まっている」
三井不動産は今月に入り、東京湾を望む新木場(東京都江東区)や、神奈川、福岡、三重の3県で新たな物流施設を開発する計画を発表した。同社幹部は「ICT(情報通信技術)の活用で非接触や自動化、機械化を進め、多様化するニーズに対応したい」と強調した。
ネット通販を手掛ける事業者は在庫を多く抱えるため、一定の面積が確保できる拠点が必要となる。そのためネット販売需要の拡大が物流施設の開発加速に直結する。
前橋市では今月、大和ハウス工業が建設を進めてきた物流施設が完成したばかり。同社は今年11月にも、広島市の広島西飛行場の跡地で大型物流施設の完成を予定。札幌市でも来年5月末の完成を目指した物流施設の整備を進めている。
各地で物流施設の建設が進む中、用地取得の競争は激しさを増している。
ある不動産大手幹部は「正直言うと、土地代が高くなりすぎている」と吐露。別の不動産会社首脳も「土地取得は非常に過熱していて価格が高騰している。施設の賃料も相当高くなっている」と明かした。
不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)リサーチ事業部の谷口学氏は、「大型の物流施設は一度に高額投資ができるため効率のいい投資先と考える機関投資家も少なくない」と指摘。「不動産各社や商社など開発に乗り出すプレーヤーが増えて土地取得が過熱し、地価が伸びている」として、今後も物流施設整備に伴って工業地の上昇基調が続くとの見通しを示した。(岡田美月)