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宇宙飛行士の虫歯予防に貢献 新潟の障害者が作る口腔消毒剤をISSへ

 みんなで作ったスプレー、宇宙に飛び立て-。知的・精神障害者らの就労支援に取り組むNPO法人「あおぞら」(新潟市)が製造を請け負う口腔(こうこう)ケアスプレーがこのほど、国際宇宙ステーション(ISS)で使う虫歯予防の生活用品の候補に公募で選ばれた。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)や関係者によると、今後安全性などを総合的に評価し、6月ごろにISSへの搭載の可否を決定。認められれば2022年ごろに宇宙に向けて打ち上げられる。日本人宇宙飛行士へのアンケートでは「爽快感があってよい」と評価が高く、関係者から喜びと期待の声が上がる。

 「宇宙で使われる可能性があると思うと、身が引き締まる感じ。仕事を通じて褒められたり、認められたりするのがみんなの自信になっている」。同法人の本多佳美理事長は思わぬ知らせに緊張と驚きが入り交じった表情を浮かべる。

 就労継続支援B型事業所などを運営しており、新潟県阿賀野市の事業所で製造を請け負うミント味の口腔ケアスプレーが候補に選ばれた。

 この商品はベンチャー企業「トライフ」(横浜市)が販売する「オーラルピース」で、植物由来の成分でできているため「飲み込める口腔消毒剤」として使えるのが特徴だ。九州大などと産学連携で開発した。

 宇宙空間は水が貴重な上、従来の歯磨き剤は吐き出さずに飲み込むと、腸内細菌に悪影響を与える恐れがある。さらに宇宙飛行士は実験などに追われて多忙で「(ノズルを一押しすれば)口の中をきれいにできるスプレーはとても便利」(同社の手島大輔社長)だといい、こうした点などが評価されたとみられる。

 同社は障害者の工賃アップに貢献しようと、14年から「あおぞら」に製造を委託。現在、事業所に通う男女計約10人が作業に携わっている。スプレーの液体は、やけどに注意しながら85度で加熱殺菌。他にも容器に異物が混入していないか確認したり、箱を組み立てたり。職員の助けを借りながら年間約1万本を作る。

 作業は各自の障害に応じて割り当てられる。こだわりが強かったり、心配し過ぎたりという性格も、ここでは長所になる。「容器の汚れなどを細かくチェックしてくれる。ゆっくりで時間はかかるけれど安心して任せられる」と本多理事長。

 「宇宙で使われるかも」との知らせを聞き、跳びはねて喜んだ人もいたという。箱の組み立て作業などを担当する横野永遠さん(22)は「宇宙に行った商品があるのをテレビで見て、自分たちもと思っていたのでうれしい。仕事が認められた」と声を弾ませた。

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