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「Go Toトラベル」遠のく再開に観光地消沈 自治体割引に補助金も

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」全国停止から28日で3カ月となった。新型コロナウイルスの感染収束が見えない中、菅政権は事業再開を6月以降に先送りする方針で、観光地は意気消沈している。地方からの度重なる要望に押され、政府は自治体独自の旅行割引に補助金を出す代替措置を決めたが、広域からの集客はできず、効果には限界がある。

 見合わせ客多く

 トラベル事業は旅行代金の50%を補助。35%分は代金割引で、15%分は土産購入や飲食などに使える地域共通クーポンを配る。宮崎県日南市のあるホテルは昨年末の事業停止後、予約が激減。支配人は「お得なトラベル再開まで旅行を見合わせる人が多い」と嘆く。

 日本旅館協会東北支部連合会によると、2月の宿泊者は東北6県で前年同月比約70%減。最大震度6強の地震が追い打ちをかけたという。銘菓や特産品が並ぶ愛媛県今治市の「大和みやげものセンター」は売り上げが半分に。店員は「今年は帰省客も少ない。コロナは怖いが、早く再開して」と注文する。

 政府は当初、春休みや大型連休を経て6月末までトラベル事業を続ける予定で、水面下では4月の訪日客一部受け入れも準備し、夏の東京五輪・パラリンピックにつなげる計画だった。しかし、感染状況は好転せず、トラベル事業は停止が長期化。入国制限も続いており、五輪は海外客受け入れを断念した。

 トラベル事業は約1兆2000億円の割引予算を残しているが、政府関係者は「ワクチン接種が進むまで再開は難しいのではないか」と漏らす。

 一方、佐竹敬久秋田県知事は5日の記者会見で「(感染者数の多い)東京のために地方が引っ張られて非常に困っている」と事業の柔軟な運用を主張。20日の全国知事会の会合では「県単位や感染が落ち着いた地域の早期再開を要望したい」(塩田康一鹿児島県知事)などの声が相次いだ。

 各地の自治体は再開までのつなぎとして、住民向けの宿泊割引を始めており、山本一太群馬県知事は24日、菅義偉首相に支援を直談判。菅氏はその日のうちに赤羽一嘉国土交通相と協議し、1人1泊当たり最大7000円分の自治体補助が固まった。

 集客力に限界

 国交省は、感染が落ち着いた地域の住民向けに、4月中のトラベル事業の部分再開も検討していたが、政府関係者は「世間ではGo Toと感染拡大が関連付けられている。同じ地元旅行を促すなら、Go Toの名でやるより、自治体支援の方がいい」と解説する。

 自治体割引は予算の制約から売り切れや抽選となる場合も多く、香川県の担当者は「国の補助で財源が増えるのはありがたい」。現在、割引のない栃木県は「せっかくの補助。実施するかどうか検討を急ぐ」という。

 ただ、地元旅行の集客力は限られる。6月末まで県民宿泊割引を実施中の新潟県。佐渡市で旅館を営む女性は「5月の大型連休も今年は空室が多い。首都圏から来客がないと厳しい」とこぼす。

 感染が収まらない地域は自治体割引が行われておらず、国の支援もない。東京・浅草の商店街担当者は「廃業を考える人も増えている。感染者を減らし、安心して旅行できる環境づくりを急いでほしい」と訴えた。

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