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首都圏私鉄、空きスペース使い拠点整備バスや駅近でもテレワーク

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けテレワークが普及する中、首都圏私鉄大手の東急は、観光バスやフィットネスジムの休憩室などをテレワークの場として提供する実証実験を始めた。小田急電鉄は駅改札近くのATM(現金自動預払機)跡地にテレワーク向けの個室を開業。通勤時間を就業に充てたり、都心から離れた住宅街でテレワークしたりできる環境整備を進める。コロナ禍で人の移動が制約され、本業である鉄道事業の業績悪化が続く中、働き方の変容を捉えて新たなニーズを掘り起こす狙いだ。

 28日まで実験営業

 東急は2月16日、移動中のバス車内でテレワークができるサービスの実証実験を兼ねた営業運行を開始した。4月28日までの約2カ月半、平日に運行する。バスに乗り込んだ時刻から仕事を始める新たな働き方を提案する。

 運行するのはWi-Fi(ワイファイ)や化粧室が備えられた計38席を擁する観光バス。座席でパソコン作業がしやすいように膝上に乗せるクッションを無料で貸し出す。

 片道運賃は、最も安い区間で1000円、最も高い区間で2300円。東急線通勤定期券の所有者は割引価格で購入できる。田園都市線たまプラーザ駅のバス乗り場など横浜市内の3カ所を午前8~9時台に出発し、渋谷駅、東京駅南口の乗り場に午前10時台に到着するダイヤを組む。復路は、都内2駅を午後4~5時台に出発し、市内3つの乗り場に午後5~6時台に到着する。

 東急沿線で同社のグループ会社が運営するフィットネスジムでは、休憩室をテレワークの場としてジム会員以外にも開放している。東横線学芸大学駅(東京都目黒区)を最寄り駅とするジムでは、休憩室に仕事机を10席程度設けた。4月28日までの期間限定で、月曜から木曜の午前10時から午後6時まで、ジムとワーキングスペースの両方が使える1日利用券を3000円で販売している。

 3月1~19日には横浜市内のアウトドア施設で、暖房を完備したテント内でテレワークできるサービスの実証実験を行った。料金は平日の午前10時~午後4時の利用で1500円からに設定した。

 東急は実証実験で需要を見極めた上で本格営業するか判断する。同社の広報担当者は、「住宅街ではテレワークの整備がされていないところもある。弊社の施設を使って不足するテレワークの場を補っていただければ」と話す。

 改札そばに個室提供

 首都圏私鉄大手の小田急は3月15日に、東京都渋谷区の代々木上原駅改札付近にテレワーク向けの個室を開業した。撤去されたATMの跡地を活用。今後は神奈川県内の駅付近など郊外や住宅街での開業も計画する。 開業した個室は定員1人で、広さ約3平方メートル。室内にはWi-Fiやエアコンが完備されている。利用者はスマートフォンに表示されたQRコードを個室の扉横に設置された画面にかざして解錠し入室する。

 小田急は法人会員制のサテライトオフィス事業を展開する不動産業のザイマックスなどと協力し、同社の法人会員を対象に平日のみ運営する。6月からは法人会員以外の個人客も利用できるよう、土日祝日の運営を目指しており、利用料など詳細を検討する。

 小田急は既にグループの商業施設や沿線駅の改札口付近の売店跡地などを活用し、都内や神奈川県内の駅周辺計7カ所でテレワーク用オフィスを営業している。6月には同県厚木市や同県藤沢市内の駅近くで出店を控えており、2024年3月末までに沿線で計30拠点の整備を目指す。

 三鬼商事によると、2月末時点の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均空室率は、前月比0.42ポイント上昇の5.24%。新型コロナの影響で12カ月連続で悪化し節目の5%を上回った。私鉄大手が空きスペースを活用したテレワーク拠点の整備に力を入れるのは、都心オフィスの空室率上昇によって個人が利用するテレワーク用個室のニーズは高まっているとみていることが背景にある。(岡田美月)

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