金融

「銀行でムリなら信用金庫に戻す」 第二地銀を震えさせる金融庁の“腹案” (1/3ページ)

 ■地元の信用金庫との再編が前提になれば…

 第二地銀の一部で協同組織金融機関への回帰が真剣に議論されている。今国会で関連法の改正を目指して準備している金融庁関係者がその実情を打ち明ける。

 「第二地銀は地域金融の有力な担い手であるが、より規模の大きい地銀に優良な地元企業を押さえられる一方、中小・零細企業は信用金庫に侵食されている。いわばサンドイッチのように圧迫される構造的な問題を抱える。そこにマイナス金利の象徴される超低金利が追い討ちをかけ、将来の展望が描きづらい状況に陥っている」

 その打開策として他行との再編を模索している第二地銀も少なくないが、「再編相手として地元の信用金庫を加えてはどうかと考えている。その場合、自行が協同組織金融機関に戻る必要が生じる」(ある第二地銀幹部)というのだ。

 そもそも第二地銀の発祥は無尽会社で、戦後、協同組織金融機関の一形態である「相互銀行」がルーツ。それがバブル経済の走りの1985年に相互銀行業界を挙げて普通銀行に転換したいと行政に要望した。「相互銀行から地銀と同じ普通銀行に転換することで、業務・業容の拡大を目指したものだった」(第二地銀幹部)という。

 ■浮上した「協同組織金融機関」への先祖返り

 同時に行政もこの流れを後押しした。「当時の大蔵省銀行局内には、相互銀行を地銀と合併させる構想があって、そのために相互銀行を普通銀行法に基づく地銀に格上げすることで両者の根拠法を揃えようという考え方があった」(大蔵省OB)というのだ。

 その結果、1985年に65行あった相互銀行のほぼすべてが1989年に「金融機関の合併及び転換に関する法律」(合併転換法)に基づき一斉に普銀転換した。

 今、一部の第二地銀が検討しているのは、この歴史の流れを元に戻そうというものだ。実際、相互銀行は普通銀行に転換した当初はバブルの波に乗り、業容を拡大させたが、バブル崩壊とともに不良債権の山を抱え、破綻や救済合併される悲惨な結末を招いた。「相互銀行のままであれば、違う歴史もあったはず」(第二地銀幹部)というわけだ。

 また、協同組織金融機関に戻ることは3つのメリットがある。

 1つ目には、営利を最優先しない見返りに税制面の恩典があること。2つ目には、株式を上場しなくてよくなるため、不要な上場コストが削減できる。さらに3つ目は、買収リスクにも晒(さら)されなくてすむ。

 プライドを捨てれば、浮かぶ瀬もあるということだろう。

 ■銀行にとって冬の時代が続いている

 日銀は3月18、19日の金融政策決定会合で8年間におよぶ大規模金融緩和策の点検を行い、政策の一部を修正した。

 「長期金利の誘導幅をプラスマイナス0.25%に若干広げるとともに、上場投資信託(ETF)の購入について原則、年6兆円としていた購入額の目安を削除する内容。しかし、肝心な2%の物価目標は達成できていないことから、6兆円の購入削除が金融緩和の後退と受け止められないようETF購入の上限である年12兆円の枠は維持した」(市場関係者)。

 4月以降は市場が混乱した場合のみETFを買うなど、よりメリハリをつけた運用にシフトすると見られている。

 この点検で民間金融機関が密かに期待した日銀によるマイナス金利政策の解除は見送られ、大規模な金融緩和は今後も継続される。このことは、とりもなおさず金融機関の収益環境は厳しい状況が続くことを意味する。とりわけ人口減少や地域経済の縮小に苦しむ地銀の経営環境はこれまで同様、逆風が吹き続けることになる。

 翻って、菅義偉首相は昨年秋の自民党総裁選の過程で、「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と語り、「再編も一つの選択肢になる」と指摘した。

 銀行の歴史は再編の歴史でもある。日本経済の血流である資金供給を担う銀行は長い時間をかけて合従連衡を繰り返してきた。また、金融行政においても銀行の再編は中心課題であり続けた。

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