現場の風

情報銀行、不安除き賢くデータ活用 日本IT団体連盟理事 井上貴雄さん(56)

 --情報銀行に注目が集まっている

 「データは21世紀の石油といわれるが、グーグルなどGAFAと呼ばれる米国巨大IT企業がほぼ独占的にデータを囲っている現状がある。一方、欧州では国家レベルでデータの利用に関しての検討が行われている。日本は方針および検討が遅れている。このままでは将来的に日本企業が巨大IT企業や海外のルールの下で経済活動をすることになるという危機感があり、2017年2月に政府の有識者会議が示した中間とりまとめにも有効な取り組みとして情報銀行が紹介された」

 --どんなものか

 「個人データは個人が管理すべきという考えに立ち、そのお手伝いをするのが情報銀行だ。データを預かり、個人の指示やあらかじめ決めた条件で個人に代わってデータを第三者に提供する。重要な個人データを扱うため、経営面やセキュリティー面など日本IT団体連盟による認定制度も設け、既に7社が認定を受けている」

 --課題は

 「利用者が使いたいと思う情報銀行の登場と、個人データを預けようと考える利用者の拡大だ。多くの人は企業に提供している個人情報に対して漠然とした不安があるが、いちいち各サービスのプライバシーポリシー(個人情報保護方針)などは確認しない。情報銀行を介することでこうした不安と面倒を取り除きたい」

 --利用者が加入するメリットは

 「例えば私が所属する大日本印刷グループでは、個人データを分析した上で利用者が本当に必要な情報やサービス、体験を提供する情報銀行を目指している。ポイントでお返しするなど、さまざまなビジネスモデルも検討されている。情報銀行の登場で自分の資産である個人データをもっと賢く使っていく時代になるだろう」

                   ◇

 いのうえ・たかお 早大社会卒。1989年大日本印刷入社、e-マーケティング本部長などを経て2018年からコミュニケーション開発本部長。同年から日本IT団体連盟情報銀行推進委員長も兼務し、20年から現職。福岡県出身。

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