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低迷するUAE・ドバイ不動産市場に光 国交正常化のイスラエルから投資

 昨年9月にイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が国交正常化を発表して以来、約13万人のイスラエル人がUAEを訪れている。主な目的はUAEで最も華やかな観光都市、ドバイの不動産物件だ。

 国際博を前に物色

 テルアビブを拠点に活動する女性実業家、ミリ・バシレフスキー・ピント氏は、両国の国交正常化で商機をつかんだ。イスラエルの投資家が低迷するUAE不動産の掘り出し物を探すようになると考え、新会社を設立。3カ月足らずで複数の取引を成立させた。

 取材に対し、価格の安さと有利な支払い条件で「ドバイ市場は現時点で並外れている」と強調する同氏は、次のプロジェクトとして、投資を検討している人々を対象にUAE訪問ツアーを始める予定だ。

 新築住宅の供給過剰と新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした駐在員の大量流出で、UAEの不動産価格は2012年後半以来の最低水準近くを推移している。

 スイスの金融大手UBSによると、インフレ調整後のドバイの住宅価格は14年の水準から4割下落。S&Pグローバル・レーティングは3月、新型コロナ感染症の発生後にドバイの人口の約8.4%相当が国外へ退去したことで、同首長国の不動産会社の収益が圧迫され続ける公算が大きいと警鐘を鳴らした。

 そうした中でのバシレフスキー・ピント氏の話は、助けを必要とするUAEの不動産市場の痛みを和らげる道筋となる。事実、複数の不動産会社が、国交正常化を受けて関心が急上昇しているのは明白だと話す。

 ドバイの高級不動産開発会社ダマック・プロパティーズのシニア・バイスプレジデント、ニール・マクローリン氏は、今年10月開催のドバイ国際博覧会に先立ち、イスラエル人が不動産購入や賃貸を検討していると明かす。

 そうした需要に応じるため、ダマックや競合の政府系不動産開発会社、エマール・プロパティーズは、ヘブライ語を話す人材を探し始めており、語学力のある人材を募集するオンライン求人を掲載している。数年前には想像できなかったことだが、ドバイの不動産を宣伝する広告がイスラエルの複数のウェブサイトに登場するようになった。

 もっとも、ほとんどの国がイスラエルを国家と認めていない中東地域において、イスラエルとの国交正常化は依然として議論の分かれるところだ。だが、アラブ世界で最も象徴的な複数の都市を誇るUAEへのイスラエル人訪問は、湾岸諸国のライバルに対し、UAEに新たな競争優位性をもたらし得る。

 1300億ドル突破予想

 新たなビジネスの鉱脈は不動産だけにとどまらない。両国は従来の農業における課題を最新技術で解決するアグリテックの分野や新型コロナとの闘いで協力することに合意したほか、兵器の開発でも提携している。

 イスラエルは両国の協力関係が成熟する中で、2国間貿易が年間65億ドル(約7132億円)に達する可能性があると予測。UAEはイスラエルの戦略的分野へ投資するために、100億ドル規模のファンドを設立した。

 また、ドバイの商工会議所はイスラエルへの輸出額だけで年間40億ドルを超え、ドバイ首長国にとって最大の貿易相手国の一つになると期待している。

 それでも両国の国交正常化を最も歓迎するのは、ドバイの不動産部門といえよう。一説によると、23年までに同市場の規模は1300億ドルを超えると見込まれている。(ブルームバーグ Abbas Al Lawati、Ivan Levingston)

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