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気候変動サミット 有識者会議委員に聞く

 バイデン米大統領が主催する気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)が22、23日に開かれる。今回のサミットのポイントや日本の課題などについて政府が設置した気候変動政策に関する有識者会議の委員2人に話を聞いた。(那須慎一)

■イノベーションの加速期待

 公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の山地憲治副理事長・研究所長

 「今度の気候変動サミットは、米バイデン政権がトランプ前政権でおかしくなってしまった気候変動対策を見直し、改めて各国による2030年までの温室効果ガスの国別削減目標(NDC)などの発表の場として設定したものだ。日本は11月の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までにNDCを打ち出す予定だったので、結論を出すにはもう少し時間がほしいというのが本音ではある。

 30年度に温室効果ガス排出量を13年度比で26%削減するという現行目標は年間の国内総生産(GDP)成長率が1・7%であることを前提としているが、現状は同0・7%程度にとどまっており、足元では新型コロナウイルスの影響もある。経済活動の停滞などで13年度比33%程度は着実に削減できるとみているが、そこにどこまで積み上げられるかがポイントだ。

 もちろん、NDCに関し、できることだけをやるのではだめだが、できないものはできないとしっかり主張をしなければならない。高い目標の下、50年脱炭素に向け、イノベーションが加速することに期待したい」

■野心的な削減目標は「評価」

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉高まりプリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト

 「日本にとっては、日米首脳会談で「日米気候パートナーシップ」などで連携できた後にサミットを迎えることはとても良いタイミングといえる。

 足元では、中国なども環境金融面で他国と連携を深めたりしている。長く環境金融をみてきたが、ここまで世界各国が気候変動を外交カードに使っている状況はみたことがない。それは悪いことではなく、むしろ、気候変動対応が進むとみている。

 数字は確定していないものの、日本も野心的なNDCを出すとしており、このことは評価できる。仮に、野心的な数字が出た場合は30年までの短い時間で、特に再生エネルギー比率をどこまで高められるかが重要になる。

 これまでも環境関連技術の進化はあったものの、国内では基本的に安いエネルギーを活用する流れが長く変わらずにきた。ただ、そうした対応では世界市場が評価しなくなる。日本としても野心的なNDCを示すことが、世界市場の期待に応え、日本企業の温暖化対策への投資意欲を高め、グリーンマネーの好循環につながるとみている」

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