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鉄道施設のハイテク点検続々 人手・予算不足に対処、国交省が後押し

 鉄道施設の点検に最新技術を活用する動きが広がっている。使用期間が100年を超え老朽化が進んでいる例もあり、安全運行には確実なチェックと修繕が欠かせない。人手や予算の不足に悩む事業者が多い中、現場作業の効率化が期待されており、国も取り組みを後押しする。

 伊豆半島東部を走る伊豆急行(静岡県伊東市)。平野部が少なく全線の3分の1がトンネルだ。昨年、首都高速道路の点検用に開発された車両「インフラドクター」を導入。台車に載せ、高解像度カメラ、赤外線で線路の凹凸、トンネルの亀裂データを測っている。

 従来は作業員が目視で確認していたが、終電から始発までの時間に限られ、2週間以上かかっていた。それが3日に短縮し、費用も4割圧縮。伊豆急関係者は「精度も向上した」と説明する。

 JR九州は、東京のベンチャー企業「A.L.I.テクノロジーズ」とシステムを開発した。小型無人機ドローンによる撮影、人工知能(AI)の画像解析を組み合わせ、線路に倒れそうな木や橋の異常を早期に発見。数年以内に運用を始める予定だ。

 土木学会が2019年に行ったアンケートによると、全国152の鉄道事業者が保有するトンネルは建設から平均で65.9年、橋は64.6年が経過。100年超使っている施設も珍しくない。「修繕しており、古い施設が必ずしも危ないわけではない」(JR技術系幹部)が、安全のチェックが求められる。

 ただ、土木学会は昨年まとめた提言で、地方の中小鉄道は予算や人員が十分ではなく「あらゆる面で厳しい環境にある」と指摘。管理体制が改善されなければ、安全性が損なわれる恐れがあるとの懸念を示した。

 国土交通省は、維持管理にかかる地方鉄道の負担を減らそうと、新技術の開発を進めている。21年度は列車位置を無線通信で把握する制御システムをテストする。

 通常、鉄道はレールの回路で列車位置を特定し、信号機を介して進行や停止をコントロールしている。新たな仕組みは、車載器と線路脇の装置などが無線で通信。信号機などの設備を削減することで、点検の省力化につなげる。国交省によると、都市鉄道向けのシステムより簡素化し、初期費用を抑えることなどが課題という。

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