テクノロジー

宇宙船の再利用時代 コスト減で飛行に弾み (1/2ページ)

 星出彰彦さんが搭乗した米スペースX社の新型宇宙船クルードラゴンは、一度使用した機体を初めて再利用した。安全性を担保しながら複数回使うことで宇宙への輸送コスト低減につなげる狙いがある。「再利用時代」の本格的な到来により、有人宇宙飛行の活性化が期待されている。(有年由貴子)

 国際宇宙ステーション(ISS)への有人輸送を長く担ってきたロシアのソユーズ宇宙船は使い捨てタイプなのに対し、運用段階の2号機である今回のクルードラゴンは、有人試験飛行で使った機体を再利用した。昨年8月に海上に帰還した後に分解し、300以上の構成部品について摩耗度や寿命などを点検して使用できるようにした。

 打ち上げに使った大型ロケット「ファルコン9」も、主エンジンを搭載した1段目を再利用。昨年11月に野口聡一さん(56)らが出発時に使った機体を船上に着陸させ、回収したものだ。

 スペースXはクルードラゴンと基本設計が同じ無人の物資補給船を累計10回近く再利用してきたほか、ファルコン9も無人用で同50回以上の再利用実績がある。何回も使うことで生じた細かい不具合の対策を今回の点検にも反映させた。

 安全性を評価した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の尾藤(びとう)日出夫特任担当役は「無人用の点検ノウハウは十分にある。有人での打ち上げはその延長線上にあり、大きな課題はなかった」と指摘する。

 星出さんも「中古というイメージが付きまとうかもしれないが、軌道上で飛行実証された機体ともいえる。多くの人が点検に関わっているという点で安全だ」と語る。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus