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緊急事態宣言、鉄道減便要請も効果に疑問 「外出判断に影響せず」の声

 政府は新型コロナウイルスの基本的対処方針で、緊急事態宣言の対象となる4都府県の人出抑制策として、交通事業者の平日の終電繰り上げや休日の減便などを求めた。だが昨春の1回目の宣言時、鉄道各社は運行本数をほぼ維持していたのに利用者は半減した。専門家は「外出を控えるかどうかの判断に運行状況がどれほど関係あるのか」と効果を疑問視する。

 昨年4~5月、全国に出された緊急事態宣言。多くの商業施設や飲食店が自粛要請に応じ、シャッターを下ろした。「ステイホーム」が呼び掛けられ、東京都心では通勤客がまばら。日中の地下鉄の車両に乗客が1人もいないこともあった。

 当時は、エッセンシャルワーカーの通勤や車内の密集防止のため、本数などを維持するかどうかが注目されていた。赤羽一嘉国土交通相は、減便や終電繰り上げの要請について「検討していない」と否定していた。

 JRや私鉄は新幹線や観光列車などを除き、宣言前の輸送力をほぼ維持して運行した。だが国交省によると、2020年5月の全国の鉄道利用者は前年同月比53.2%と大幅に減った。

 一転したのは今年1月、2回目の緊急事態宣言の時だ。小池百合子東京都知事ら首都圏1都3県の知事と国交省は鉄道各社に、3月に予定していた終電繰り上げの前倒しを要請。各社は要請に従い、約2週間後に繰り上げを実施した。

 国交省幹部は「メッセージの意味合いが強い」と国民に危機感を持ってもらうパフォーマンスであることを示唆していた。

 だが「試しにやればいいという考えなら、たまったものではない」というのが複数の鉄道関係者の本音だ。鉄道は乗務員の手配や車両の整備サイクルを綿密に計算して運行し、乗り換え情報検索サイトの運営企業などとも連携している。乗客への周知なども含め、変更には膨大な時間と労力がかかる。

 あるJR幹部は「感染防止が期待できるなら不満は言わない」とした上で「用事があるから電車に乗るのであって、終電繰り上げや減便で用事を控える人がどれほどいるか」と首をかしげる。

 ニッセイ基礎研究所の佐久間誠准主任研究員は「首都圏で人の流れの総量を分析すると、1月後半に底を打ち、その後は上昇していった」と指摘。「終電繰り上げや減便で、テレワークや外出自粛が進むとは考えづらい。列車が混雑する恐れもある。人出の抑制は他の方法で実現し、ワクチン接種を早く実施すべきだ」との見方を示した。

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