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中小、テレワーク徹底進まず3度目緊急事態宣言 大手7割も

 4都府県対象の緊急事態宣言発令後最初の平日の26日、多くの企業が在宅勤務の徹底や出張の停止など働き方に関する新たな対応を始めた。ただ、都心の出勤風景は宣言前とあまり変化が見られなかった。菅義偉首相は「在宅勤務率7割」を企業に要請しているが、すでに大企業では在宅勤務はある程度浸透。目標達成のためには中小企業での導入が不可欠だが、「仕事の効率が悪くなる」との声も上がっており、実現のハードルは高そうだ。

 出社する人員を数値目標を定めずに削減。原則テレワークとする-。緊急事態宣言後、多くの企業がこうした対応を開始した。

 日本航空は23日に全社員に「原則テレワーク」と指示。それまでは各部門ごとにテレワーク率を定めていたが、今回は部門を問わずテレワークを徹底するように指示した。日立製作所や資生堂、アサヒグループホールディングス、京セラ、清水建設といった幅広い業種で数値目標を定めずに不要な出勤を「できる限り」控える方針を強調している。

 大手企業各社が数値目標を定めなかったのは、すでに大手企業では7割程度テレワークが普及しており、これ以上割合を増やすのが難しいという背景があるとみられる。ある大手企業関係者は「あまりやりすぎても効率が悪くなる。本当に緊急性がある事案は対面の方が緊迫感も伝わる」と話した。

 宣言の対象地域への出張についても、パナソニックが「自粛」から「原則禁止」に対応を厳格化。京セラや三菱商事、清水建設も禁止とした。

 一方、東京商工リサーチの調査によると、中小企業のテレワーク実施割合は3割程度にとどまるなど、対応に苦慮している。新型コロナウイルスの感染拡大後、テレワークが制度化されたのは、大企業では約4割なのに対して中小企業では約2割。大手と中小における二極化を打開するのは難しい状況だ。

 「受注から納品まで2日しかないことも多い。限られた時間の中で生産現場や調達担当者と調整するには、図面を囲んで顔を突き合わせた方が早く済む」。墨田区にある町工場の社長はこう打ち明けた。

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