現場の風

CCCマーケティングカンパニー データ使い個人に新しい価値提供

 CCCマーケティングカンパニー副社長・田代誠さんに聞く

 --データを使ったビジネスに注目が集まっている

 「データは誰のものかといわれたときにはやっぱり国民や個人のものであって、個人の生活が良くならないとデータを使うべきではないと思っている。企業が利益を生むためだけにデータを使おうとしすぎると結局データが悪用される恐れもある。巨大IT企業のようなデータの独り占めはよくないし、1社で生み出せる価値には限界がある。データはみんなで寄せ合い、いろんな知恵を使って価値を作っていくコンソーシアム型の方がいい」

 --Tカードは7000万人の会員がいる。これもコンソーシアム型で増やしてきた

 「2003年に共通ポイントサービスをスタートさせたが、企業同士では互いの顧客を行き来させ、ユーザーにはポイントという経済的メリットを付与してどんどん広がっていった。これまではポイントだが、次のフェーズはデータを使ってユーザーに新しい価値を提供していこうと考えている」

 --例えば

 「官民で一緒にやれることもあるだろう。私たちのデータはどこどこで何を買ったとか、いつこの店に行ったとか日常のものが多いが、こうしたデータは公共系にはない。組み合わせることで生まれる価値があると思う」

 --個人データの提供には抵抗感も根強い

 「自分が交通事故に遭って救急車で運ばれたとき、しゃべれないけど、どんなアレルギーを持っているのか、どういった家族構成なのかなどの情報がすぐに分かれば、救える命も増えてくる。そのためならデータを提供してもいいという人はいっぱいいると思う。個人データを提供することで経済的な見返りだけでなく、データで自分の生活が良くなる、楽しくなるという姿を示すことが次の一歩だろう」

【プロフィル】田代誠 たしろ・まこと 法政大経済卒。1997年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)入社。マクロミルへの転職、マーケティングコンサル会社設立などを経て2009年にCCCに復帰し、21年4月から現職。東京都出身。

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