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ANA巨額赤字、黒字化命題も依然視界不良 構造改革に限界

 巨額赤字に転落したANAホールディングス(HD)は、2022年3月期の黒字化を大命題として構造改革を加速する。ただコスト削減には限界があり、航空以外の事業強化も効果は見えにくい。新型コロナウイルスの流行が長期化し旅客需要の低迷が続く中、コロナ後の成長戦略はなお視界不良だ。

 21年3月期に5900億円、22年3月期は3000億円以上-。2年連続となる巨額のコスト削減について、ANAHDの片野坂真哉社長は4月30日の決算記者会見で「計画以上に進んでいる。まだ可能性がある」と手応えを強調した。「賃金は我慢だ」として人件費の抑制も続け、必達目標とする今期の黒字化を確保する構えだ。赤字の「止血」だけでは成長できないため、国内線を収益の柱と位置づけ、傘下の全日本空輸と、格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)との共同運航を検討。出資している中堅航空会社スカイマークとも連携を進める可能性もある。

 ただ、インドなどで変異株が猛威を振るい感染収束の気配が見えない中、航空業界を取り巻く環境はなお厳しい。国際航空運送協会(IATA)は、21年の世界の航空需要が感染拡大前の19年比で43%にとどまり、各国の厳しい入国制限により低迷すると予測する。

 ANAはLCCの新ブランドの発足へ準備を進め、競合する日本航空も中国系LCCの春秋航空日本を連結子会社化する方針だが、ワクチンの早期普及による需要復活を前提とする各社の成長戦略が「絵に描いた餅」となる懸念は拭えない。

 航空旅客は、これまでも外部要因に左右されてきた。不安定な「一本足打法」から脱却するため、ANAは貨物専用機の機体をフル活用して就航地を拡大。保険や不動産など航空以外の事業強化にも力を入れて安定収入を増やす戦略を打ち出すが、即座に成果を出すのは難しそうだ。

 航空アナリストの杉浦一機氏は「まずは既に成果が出ている航空貨物を広げることと、これまで中心だったビジネス需要よりも観光需要が重要だ」と指摘した。

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