話題・その他

感染100人以下で解除なら再宣言は不要 東大グループ推計

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う3回目の緊急事態宣言について、政府は今後、予定通り11日での解除が可能か本格的な検討に入るとみられる。一方、専門家らは「感染者数が高い状態で解除すれば、再宣言の可能性は高くなる」と警鐘を鳴らす。

 東京都の新規感染者(7日間平均)が500人を下回った時点で緊急事態宣言を解除すれば、7月に再宣言もあり得る-。東大経済学部の仲田泰祐(たいすけ)准教授らの研究グループがこんな推計結果をまとめた。

 4月25日までのデータを基に、7日間平均の新規感染者数がそれぞれ500人、250人、100人に減少した時点で宣言解除した場合、その後の感染者の推移と経済的損失を試算。変異株の感染力を従来株の1・5倍と仮定し、ワクチン接種状況も考慮した。宣言発令のタイミングは2回目の宣言時の水準である1250人超を基準とし、高齢者のワクチン接種が進むにつれて水準を引き上げた。解除後は6週間をかけてコロナ禍で最も経済活動が盛んだった昨秋の水準まで人出などが戻る設定とした。

 推計の結果、7日間平均が500人を下回った段階で解除すると、人出の回復に伴い、7月の第1週で新規感染者の7日間平均が1529人と2回目の宣言時の水準に到達。12月ごろにも感染が拡大し、宣言が必要な状態となった。7日間平均250人にまで解除基準を下げると再宣言は1度で済み、100人を切るまで宣言を延長した場合、7月第4週まで期間が及ぶが、再宣言は不要となった。

 経済的損失は3パターンのうち、新規感染者が100を切るまで宣言を延長したケースが最も低かった。仲田氏は「解除基準の人数が高ければ短期的には経済に良くても再度の宣言が必要で、中長期的には損失が大きくなる」と指摘した。

 筑波大大学院の倉橋節也教授(社会シミュレーション学)が行った試算でも、新規感染者が100人程度にまで減少した時点で宣言解除することで、以降の感染拡大の波を抑えられるという結果が出た。倉橋氏は変異株が想定より早く広がっていることなども踏まえ「11日の宣言解除は厳しいのではないか」との見解を示した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus