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日本の消費が森林伐採に関与 国内研究機関「1人年2本」

 日本をはじめ多くの国が2050年に温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする「ネットゼロ」を宣言した。森林を守り、再生して二酸化炭素の吸収量を増やすことが目標達成に重要なのだが、近年、熱帯の天然林の破壊が加速、温暖化対策の足を引っ張る結果となっている。日本人の消費生活とも深く関連する世界の森林破壊の現状を探った。

 「日本の消費者は木材や食料の輸入を通じてアジアやアフリカの森林伐採に関与している」-。総合地球環境学研究所(京都市)の金本圭一朗・准教授らのチームは、世界各国の消費財やサービスと原産地での森林破壊の関連に関する研究結果を3月末、生態学の専門誌に発表した。

 2015年に日本の消費者は、1年間で1人当たり2.22本の森林伐採を国内外で引き起こしており、そのうち2.07本が海外の森の木だった。金本准教授は「日本の企業や消費者や国内の消費が海外の森林破壊に関連していることを知り、可能な限りそれを小さくする努力が必要だ」と話している。

 研究グループは、地球観測衛星のデータに、人工知能(AI)を使って天然の森とアブラヤシ林、ゴム園、植林されたユーカリの林を区別する手法を加え、01~15年の世界の森林破壊の状況を30メートル四方の精度で調べた。

 その上で、1500品目の農作物や鉱物、消費財や観光業などのサービスについての生産手法やサプライチェーンに関するデータを使って、各国の消費がどの国で、どれだけの森林伐採を引き起こしているかを分析した。

 日本人の消費の中で森林破壊量が多かったものは、食品や化粧品、せっけんなどに使われるパーム油が代表的で、インドネシアの森林破壊に関連していた。また、ブラジルからの大豆、タンザニアからの綿やゴマ、パプアニューギニアやラオスからのコーヒー豆といった輸入品が海外での森林破壊を引き起こしている製品だとの結果が出た。

 15年に消費を通じた海外の熱帯林破壊面積が最も多かったのは米国で4652平方キロ。製品ではブラジルの牛肉と大豆、カンボジアの木材、リベリアのゴムなどで多かった。日本の海外森林破壊面積は2158平方キロで中国に次いで世界3位だった。

 日本人1人当たりの海外森林の伐採本数は01年の1.59本から増える傾向にあった。

 国レベルでの海外の森林伐採面積も、1人当たりの伐採本数も、日本だけでなく、中国、米国、ドイツ、英国など多くの国で増加する傾向にあり、先進国や新興国での輸入消費財に起因する熱帯林の破壊が進んでいることが裏付けられた。

 金本さんは「海外の森林破壊への寄与が大きい商品を特定し、持続可能なものだと認証された製品に調達先を変える、といった企業の努力も必要だ」と話している。

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