知恵の経営

設備工事からサービス業へ

 アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

 今回は、第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(3月実施)で中小企業庁長官賞を受賞した島根県松江市にある電気設備工事、通信設備工事、給排水衛生設備工事、空調設備工事などを行う島根電工を取り上げる。

 同社は1956年に設立。現社長の荒木恭司氏は72年入社。2010年に社長に就任した。もともと、同社は県や市が所有する公共施設の電気や給排水、空調や通信設備工事などをメインとしていた。しかし、1990年以降、売り上げの90%を占める公共工事が大幅に削減され、業況は一変した。この環境変化に適応すべく、荒木氏は、社長に就任する前から、設備工事業界では非常識だった、個人の住まいの困り事の解決という社会的課題の解決に応じることが生き残り策になると考えた。だが、「大きな仕事」にプライドを持つ社内の危機意識は薄く、細々とした民間の業務には反発をした。孤立無援に近い状況の中、設備工事業からサービス業への意識転換を図る決意をし、2001年、一般家庭向けの住まいのお助け隊を創り、改革を進めた。その中で、工事ごとに内容と収支が分かるデータ取り続けたところ、小口であっても十分な収益が獲得できることが分かった。

 また、06年には、住まいのお助け隊を取り取り上げたユニークなCMを公開した。この手作り感のあるCMをきっかけに、「同社は大きな工事をやる会社」というイメージが払拭され、問い合わせが相次ぐようになった。この結果、社風が一変し、自ら提案して売り上げを開発することが当たり前化し、全売り上げの半分近くがこうした開発売り上げになり、全体としても、バブル期の3倍の売り上げにまで成長した。

 その一方で小口工事を始めて以降、営業担当社員の残業が増えたが、原因は見積もりの手間だった。これを改革しようと、見積書や請求書を作成できる携帯情報処理端末「サットくん」を開発し、社員の生産性が一挙に高まった。また、過去の工事や販売の履歴を一元的に管理する「お客様サービスシステム」も開発・活用し、より迅速かつ正確に、修理や故障の対応が取れるようにした。

 同社は丁寧な仕事ぶりが特徴だったこともあり、顧客リピート率は90%以上となり、多くのファンを得るようになった。

 また、住まいのお助け隊を始めて以降、顧客と直接接する機会が多くなり、顧客の反応がダイレクトに社員に伝わり、さらに、住まいの「困り事」を即解決することで、顧客から大いに喜ばれ、感謝されるようになった。社員の働きがいは大いに増大し、いつしか、小さな仕事をバカにする社員はいなくなった。このように、社員が自律的に行う仕事が顧客から感謝される結果、社員がますます頑張っていい仕事をすることで好循環が生まれ、エリアの小さな困り事を次々と解決している。

【会社概要】アタックスグループ

 顧客企業1700社、スタッフ220人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡、仙台でサービスを展開している。

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