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任天堂が過去最高益、ダウンロード戦略奏功 プレステと一線画す

 任天堂が6日発表した令和3年3月期連結決算は最終利益が前期比85・7%増の4803億円と過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要で、主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が好調。関連ソフトも売り上げを伸ばした。売上高は34・4%増の1兆7589億円。これまでの最高益は平成21年3月期の2790億円だった。

 スイッチの販売台数は前期比37・1%増の2883万台と過去最高。昨春発売したソフト「あつまれ どうぶつの森」は累計販売本数が3263万本に達した。

 発売から4年、スイッチの勢いが止まらない。業績予想を上回った決算の原動力となった。一方で、ヒット商品に業績を左右される業界の事業構造を改めて示したといえる。ゲーム機、ソフトをいかに息長く売るか、各社は知恵をしぼる。

 「(スイッチの)ライフサイクルを長期化させる基盤は整った」

 任天堂の古川俊太郎社長は、スイッチの持続的な販売に自信を示した。人気を維持する仕掛けとして力を入れるのが、ソフトのダウンロード販売だ。店頭で手に入りにくい新作、過去の名作も取りそろえているのが強み。ダウンロード販売は前期比68・5%増の3441億円とソフト売上高全体の4割を占めた。

 一方、他社はインターネットを通じて好きなソフトが利用し放題の定額制サービスに注力する。「プレイステーション5」が主力のソニーは400超のタイトルを利用できる定額サービスを提供。「Xbox SeriesX」などで利用できるマイクロソフトの定額サービスでは一部のソフトは発売日から楽しめる。

 任天堂は定額制サービスは一部に限定。古川社長は「ソフトの販売形式はゲームの内容と顧客の相性を考慮して決める」と、今後、柔軟に販売方法を検討する考えを示す。

 みずほ銀行産業調査部の斉藤昌幸調査役は「業績を安定させるため、有料の追加コンテンツや定額サービスで発売後も長く遊ばれるゲームづくりが求められている」と指摘している。(「プレステ5」なぜ買えない? 発売半年、半導体不足や高額転売)

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