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鉄鋼大手2社が2年連続赤字 日鉄は1万人削減

 鉄鋼大手の日本製鉄とJFEホールディングス(HD)が7日に発表した令和3年3月期連結決算は、ともに2年連続の最終赤字となった。新型コロナウイルス感染拡大による鋼材需要の減少が響いた。一方、足元では自動車向け需要などが回復し、4年3月期はともにV字回復を見込んだ。ただ、日鉄は7年度までに1万人以上の人員削減を計画するなど、“鉄冷え”とも称される厳しい経営環境は続きそうだ。(井田通人)

 日鉄の3年3月期は、最終損益が324億円の赤字だった。コロナ禍で高炉の一時休止に踏み切った上期(4~9月期)の不振を補えなかった。売上高は前期比18・4%減の4兆8292億円、本業のもうけに当たる事業損益は1100億円の黒字(前期は2844億円の赤字)だった。

 JFEHDも上期の不振が響き、最終損益は218億円の赤字(前期は1977億円の赤字)。売上高は13・5%減の3兆2272億円、事業損益は129億円の赤字(前期は378億円の黒字)だった。

 一方、自動車など製造業向け需要が昨年秋以降に回復し、市況改善やコスト削減効果も追い風に、4年3月期はともに黒字転換を予想。最終利益は日鉄が2400億円、JFEHDは1300億円と、そろって大幅改善を見込む。

 ただ、先行きには不透明感が漂う。自動車メーカーは半導体不足で軒並み減産に追い込まれており、影響が長引く恐れもある。日鉄の橋本英二社長は7日の会見で、世界の鉄鋼需要に占める自動車向けの割合は少なく、「半導体不足が(鉄鋼業界に)大きな影響を及ぼすことはあまりない」と予測した。だが、日本の鉄鋼大手は自動車向けの高級鋼板が強みだけに、一定の影響は避けられない。

 V字回復したとしても好調を持続するのは難しい。

 平成30年度まで10年間にわたり1億トンを超えていた国内粗鋼生産量は、直近の令和2年度には約8300万トンまで落ち込んだ。3年度は「9500万トンぐらいが期待できる」(橋本氏)と回復を予想するが、中長期的には人口減などで8千万トン程度まで落ち込むとの見方がある。

 一方、海外では世界生産の半分超を占める中国勢が技術力を高めており、競争は激化する一方だ。日鉄とJFEHDはインドをはじめとする成長市場への投資を強化しているが、思惑通り進むかは未知数だ。

 日鉄は国内市場縮小などを見越し、昨年2月に瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の閉鎖などを打ち出したほか、3月には東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)の高炉1基を休止すると発表。協力会社を含め、7年までに全体の2割強に当たる1万人以上を削減する計画だ。JFEHDもJFEスチール東日本製鉄所京浜地区(川崎市)の高炉休止を決定している。

 国内製造業で最も二酸化炭素(CO2)排出量が多い鉄鋼業界は、脱炭素化という新たな課題にも直面しており、JFEHDの柿木厚司社長は7日の会見で「過去に経験したことのない、非常に厳しい経営環境だ」と悲壮感を漂わせた。

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